マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2009.10.02
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 夜明け そして苦しみの始まり 


赤玉トンネルに着いたのは確か3時40分ころだったはず。そしてここの歩道に横になったのは20分ほどの間。仮眠所同様に眠れることはなかった。レースのため脳内から活発に興奮性の高いホルモンが分泌され、なかなかランナーを眠らせてくれないのだと思う。でも、じっと目を瞑っていたお陰で、疲労感がかなり薄らいだように思う。

起き上がってチューブ入りの栄養剤を飲み、カロリーメートを1本食べて出発。思い切って軽いジョギングから入ってみた。ほほう、これくらいなら走れないこともない。116km地点の赤玉集落通過。

ここは文字通り赤い色の石が採れるところ。第1回の時、栃木のHさんがわざわざここで赤い石を拾っている。今回私はレース後に両津港のフェリー乗り場で、小さな赤石を記念に買った。1個100円。まるで瑪瑙のように輝いている石が、今私の書架に収まっている。

121.5km地点の東鵜島集落通過が5時5分。ようやく空が明るくなり、照明が不要になった。ここでヘッドライトと赤色灯を消す。今日も天気は良さそうだ。輝く海原の向こうに、新潟の山並みが見える。南は米山から北は弥彦山までが晴れた空にくっきりと映えている。そして広大な越後平野の後ろに聳える一際高い山々も。こんな美しい朝の風景は2度と見られないだろう。

123km地点の岩首集落へ5時20分到着。海岸で朝食を摂る。食べたのはお握り1個。こんな質素な朝食でも、206kmを走るための重要なエネルギー源には違いない。喉を潤して5時40分に再スタート。海風を心地良く受け、ゆっくりとだが思い切って走ってみた。

125km地点から松ヶ崎集落にさしかかる。ここは古代の港があった場所。対岸の寺泊との間に開かれていた航路は都と直結し、さらにここから佐渡国府が置かれていた真野までは官道が開かれ、要所に駅舎があったようだ。現代の松ヶ崎は「屋号」の町として親しまれている。良く見ると一軒ずつに特徴のある屋号を彫り抜いた立派な看板が見えた。

127km地点の多田(おだ)は、第1回大会の時に山道を大きく迂回して到達した集落。見覚えのある町並みを懐かしみながら走っているうちに、誰かが私を呼び止めた。訝しがって顔を見ると、スタッフのSパパ。何と127.6km地点の第3ASの存在をすっかり忘れていたのだ。到着したのは6時28分。公園のベンチに腰を下ろす。

先着のランナーが私に焼きソバを手渡してくれた。へえ~、こんなところで焼きソバに巡り合えるとはねえ。どうもそれが最後の1パックだったようだ。容器を開けてお湯を注ぎ、後は具とソースを絡める。疲れた胃には嬉しい食べ物。だが、後から着いたランナーは気の毒にも黙って見つめるだけ。こんな所にもちょっとした差での運、不運がある。

6時45分、勇躍第3ASを出発。ここから131km地点の筵場(むしろば)集落までは山越えの道。第1回の時は土砂崩れで大きく迂回した所だ。結構厳しい登りが続く。徐々に暑さを感じるようになって来た。それに目が痛む。前日のランで目に浸み込んだ汗が、今頃になって悪さをするのだ。7時5分。リュックからサングラスを取り出して掛ける。これで幾分痛みが和らぐ。クール

132km地点の白山神社では、今年も秋の祭礼の幟が立っていた。第1回大会ではここに第4ASが置かれ、ビールと美味しいショルダーベーコンをご馳走になったっけ。思い出に耽っているうちに、さらに目が苦しくなって来た。道路の白線が交錯して目に飛び込んで来る。疲労のための錯視。あまりの苦しさに片目を瞑る。それでようやく物が1つに見え、痛みが薄らぐ。ここから片目での長い旅が始まった。

後ろからA津さん、I島さんの横浜コンビに抜かれたのはこの頃だ。2人は快調なスピードで走って行く。慌てて後を追うものの徐々に差が開き、やがて彼らの背中がみるみる小さくなって視界から消えた。8時17分、137km地点の赤泊港に到着。漁港のトイレで洗顔と股ずれのケア。夜間着ていた長袖Tシャツを脱ぎ、ゼッケンをランニングシャツに付け替えた。

これからますます高くなると予想される気温に備えるためだ。そして下は半ズボンにするか迷った。半ズボンに代えれば涼しいし、股ずれ対策にもなる。だが、テーピング用のテープを持って来なかったために膝が心配。これから残り約70kmを最後まで走り切るためには、たとえ股ずれが悪化してもやはりサポート機能があるロングタイツに頼らざるを得ないと判断。

その時、目の前を新潟のYちゃんが通過するのが見えた。多分そのうちにどこかで追いつくだろう。そう思って声を掛けなかったのだが、その後彼女の姿を見ることは無かった。100kmのレースではほとんど完走したことのない彼女が、この200kmを超える「佐渡島一周」では、見事に完走するのがとても不思議に思える。きっと今回の彼女は、やはりR子さんの追悼を願って必死だったに違いない。<続く>





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Last updated  2009.10.02 17:50:23 コメント(8) | コメントを書く


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