マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.09.16
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 可愛い生物と暖かい言葉 

 堆積した土砂は思ったほどではなかった。そこは8年前に走った時に土砂崩れしていた場所の直ぐ傍。当時はさらにノリ面だけではなく、道路自体が崩壊した場所が近くにあった。切り取った山側は強くても、土を盛った谷側はどうしても弱いのだろう。5年前に通過した時は全ての補修が終わっていたが、道路の亀裂を埋めた痕跡が多いのは、その後も補修を加えた証拠だ。

 元々の土壌がもろいのに加え、最近の大雨でノリ面が崩壊したのだと思う。土砂崩れ現場へ立ち入れないよう厳重なバリケートが設けられていた。そこも苦労して乗り越え、前進する。険しい下り坂を3kmほど走ると、再びノリ面が崩壊している現場。そこは表面のコンクリート片だけが崩壊したようで、その脇を通り抜けることが出来た。そして県境から数えると3つ目のバリケード。これでは峠の登山口に達することは到底無理。笹が茂っていたのはこのためだったのだ。

 さらに下ると「綴れ折り」の4回分に土砂崩れが発生した箇所があった。こちらは緩い傾斜の坂なのだが、上方からかなりの量の土砂が幅40m長さ数百mにわたって流れ落ちたようだ。木々を根元で伐り、土砂を取り除いた様子が窺える。結局は山形県側も宮城県側同様に、崩落を繰り返していたのだと思う。そしてここにも簡便なバリケードが設置され、人々の入山を阻んでいた。

 宮城の秋保温泉から山形の山寺へ通じるとなれば、観光道路としてはかなり有望だと思うのだが、こんな災害が多い状況では長年閉鎖され林道に降格したのもやむを得ない措置のように思える。そして閉鎖中の道を無理に通り抜ける冒険はしない方が良いと感じた。

 ようやく安全な地点まで下った時、道路の上で動くものが見えた。枯葉にしては風が無い。何だろうと近寄って見ると、それは小さなネズミのような生物だった。ひょっとしてこれがヤマネ?リスにも似てるが大きさは5、6cmしかない。それが木の葉に隠れた。枯葉を除けると慌てて逃げる様子がとても可愛らしい。初めて見る山の生き物に、ここまで走った疲れが飛んだ。

 13時43分、下りに下って遊仙峡の入口まで来た。ここはかつての峠道への入口で、上流まで大きな石がゴロゴロ転がっている河原が数kmも続く。ここまで来ればゴールは近いと安心した途端、雨が降り出した。これも想定内のことと、雨の中を走り出す。13時51分、麓の集落手前まで来たところで、大きな雨粒に変わる。リュックから取り出した傘を差し、さらに走る。



 笹谷峠越えの時は、峠の茶屋の女主人が冷えたスイカをくれ、お土産に3個の黄粉餅までくれた。そして今回は、車に乗せてくれると言う。山形の人は本当に親切な人ばかりだ。人情が今でも残る土地柄にとても親しみが湧いた。

 14時10分。仙山線の線路を潜り、山寺が目の前に見える河原へ到着。ここが今日のゴールだった。9時間45分の冒険が今ようやく終わった。直ちに身障者用トイレで着替えを済ませ、駅に向かう。途中でロング缶1本を買い、駅の待合室でお握りを食べながら飲んだ。冷たいビールが美味しい。これで今夏3つ目の峠越えを無事達成。

 帰宅したその夜、私は幾つかの地図を広げて調べ始めた。宮城県から隣の県に行く峠がまだたくさんあることが分かった。そしてそのうちの幾つかについては距離も測って見た。走れそうな峠もあれば、かなり困難そうな峠もある。今年もどこかへ行くとして、残りは来年以降の楽しみに取って置こう。思わぬきっかけで始まった峠越えだが、体が動くうちはこれからも挑戦したい。そんな強い想いが胸に過った私だった。<完>





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Last updated  2010.09.16 18:38:39 コメント(14) | コメントを書く


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