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2007年09月29日
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 昭和20年4月16日早朝、米軍は伊江島への上陸作戦を開始した。島を取り巻く米軍第5艦隊所属の戦艦、巡洋艦、駆逐艦から艦砲弾がいっせいに発射され、伊江島は瞬時にして火炎地獄、修羅場と化した。

 空からは雲霞のように艦載機が急降下を繰り返し、ナパーム弾やロケット弾攻撃を続けた。伊江島は長さ約8キロ、幅3キロの小さな島で、北よりの所に海抜170メートルの城山が立っている。その麓の直径は約600メートルで洞窟の中に戦闘指揮所があった。

 伊江島の日本軍兵力は将兵2700、防衛隊800の計3500名であった。その外に女子救護班(70名)、女子協力隊(?)、少年義勇隊(20名)、青年義勇隊(720名)が戦闘に参加していた。

 しかし、銃を持ったのは将兵だけで、防衛隊は数名しか銃は持てず、残りは全員、竹やりであった。これでは巨大怪獣にツマヨウジで立ち向かうようなもので、戦わずして勝敗は決まっていた。

 この猛爆撃に対して日本軍は応戦の態勢がとれず、洞窟に閉じ込められた状態となった。唯一の効果的反撃手段は夜陰にまぎれ、斬り込みの肉弾戦を敢行する戦法しかなかった。伊江島地区隊長・井川正少佐は全部隊将兵に次のような訓示を伝達している。

 「全員生死を超越し、全力を尽くして一人でも多くの敵兵を撃滅し、一台でも多くの戦車を撃滅し、一日でも長く飛行場の占領を妨害し、たとえ我々は伊江城山の麓に屍を晒すとも、これにより沖縄本島友軍に裨益せん」

 米軍は午前8時、伊江島西側の山山海岸から上陸を開始した。それに対して田村大隊所属の柴田邦夫少尉が、小隊を率いて壕を飛び出して激しく交戦したが、物量に物を言わせる米軍の前にはひとたまりもなく、全滅した。

 その報告を伝令から受けた井川地区隊長は

 「生死勝敗は問題にあらず。死すとも悔いなき戦闘を遂行すべし」



 その夜、各中隊から20組の斬り込み隊が編成されて突撃し、戦車7両を破壊した。さらに田村大隊からは、兵と住民による斬り込み隊が結成されて敵軍に突入、全滅した。

 19日には、前田小隊が城山北方で肉弾攻撃を敢行して全滅。・・・このような斬り込みが連日連夜敢行され、玉砕が続いた。

 しかし、敵の勢力はあまりにも膨大であった。日本軍の攻撃10に対して、米軍はそれの数百倍のお返しをする。ついに日本軍は精根尽き果て、4月20日、城山の洞窟に堅く封じ込められた。

 壕内には将校10名、兵員150名余、そして、女子救護班6名、と一般住民多数が潜んでいた。井川少佐はその夜8時、最後の総突撃命令を下した。出撃前、酒が酌み交わされ、煙草も支給された。

 女子救護班の6名は、大城寿美子(26歳)、真栄田節子(23歳)、大城ハル子(23歳)、永山ハル子(24歳)、崎山ヨシ子(21歳)、大城シゲ(19歳)、であった。彼女らは自ら志願し、斬り込み隊に加わった。まず、髪を切り落とし、白い鉢巻を締めて、その上から鉄兜を被り、軍服をまとった。

 すると、乳飲み子を背負った女が、自分も斬り込みに参加する、と言い出した。続いて40名あまりの老人、女たちも「祖国のために命を捧げる」と叫んで立ち上がった。

 井川少佐は感涙でしばらく声が出なかった。・・・だが、彼らを死なすべきではない、という思いがこみ上げ、斬り込み参加を拒絶した。そして、19歳の大城シゲも斬り込み隊から外された。シゲは泣きながら激しく懇願した。

 「いままで戦ってきたのは何のためですか、霊峰富士聳える神国日本のために死ぬためだったのです。ここで生き残って米兵の陵辱を受けて生き恥を晒したくはありません」

 シゲはすがってさらに懇願した。その気迫に井川少佐はたじろいだが、断固としてその要求を受け入れることはしなかった。

 「きさまらはここで死ね。足手まといになる。ここで死ぬのも、戦って死ぬのも国のために死ぬことに変わりはない。我々が斬り込んだあと速射砲弾の火薬に点火して全員自決せよ、靖国神社で会おう・・・」

 壕には足に負傷した一等兵も残された。彼の役は斬り込み隊が出たあと、速射砲弾に点火して爆発させることであった。



 しばらくして、赤子を背負った女が竹やりを持って飛び出して行った。「1人でも多くの敵を殺す」 という凄まじい執念によるものであった。轟音と炸裂音が一段と激しくなり、島全体が断末魔の痙攣に何度も震えた。

 洞窟の至る所で手榴弾が爆発した。家族が輪になって布団を被り、真ん中に手榴弾を置いて爆発させる。それでも死ねないでいると、お互い棍棒や岩で頭を打って止めをさした。爆発のたびに肉片と血飛沫が飛び散り、岩肌に張り付いていく。

 シゲは火薬の爆発を待ちながら妹の手を握り、横になっていた。しかし、爆発はしなかった。井川少佐の命令で、残された負傷兵が砲弾に点火しなかった、と思えてならない。

大城シゲ、伊江島女子斬り込み隊の唯一の生き残りであった。





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最終更新日  2007年09月29日 07時13分57秒
コメント(9) | コメントを書く


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沖縄!  
本当になぜ戦争なんかするんでしょう。なぜ殺しあわなければならないんでしょう。
なにか今政治が戦争に向かっているような気がしてなりません。 (2007年09月29日 21時20分54秒)

Re:沖縄!(09/29)  
さわやかV  さん
さるすべり9722さん
-----私もそんな気がします。戦争で最も大きな犠牲になるのは女、子供、老人の弱者たちです。戦争絶対反対です。
(2007年09月30日 08時35分32秒)

さわ  
atiti2951  さん
終戦記念日の時テレビでさわやかさんが書いている女子救護班というのでしょうか?洞窟で負傷されている兵隊さんのおせわをされている女の子達が、もう救護はこれまでと言われ洞窟から追い出され女子たちは2箇所に別れて行った。1箇所は助かり1箇所は亡くなられた。その生き残ったおばあさんが出てきていました。その洞窟の前でインタビューを受けて説明してくれていました。とても辛かったです。戦争は絶対にしてはいけないが、今生きている私たちのために戦って亡くなられた方々の事は、絶対忘れてはいけません。 (2007年09月30日 19時01分22秒)

Re:さわ(09/29)  
さわやかV  さん
atiti2951さん
-----そう言われますと、無性に涙が出てまいります。この世の地獄、修羅場、それを見せ付けられ、62年経った今でも、その悪夢にうなされます。
(2007年10月01日 18時03分40秒)

集団自決  
よっぴ さん
井川少佐は、集団自決を命令したことになってるのでしょうか?
でも、最後は砲弾に点火しなかった。。。
(2008年01月03日 01時45分29秒)

Re:集団自決(09/29)  
さわやかV  さん
よっぴさん

-----指揮官は皆の命を守りたかった。島民の命を敵から守る、その為に命をかけて戦う、それが軍隊なのだ。集団自決を命じたのではなくて、生きられる限り生き抜いて、それでも、敵に殺される状況が決定的になったときに潔く、自決せよ、という意味だったのです。

 指揮官、将兵ののほとんどが人間です。中には悪魔のような軍人もいましたが、それでもって全体を悪魔、と決め付けては、それこそ歴史を歪めるものだと思います。

 もし、悪があるとするなら、それは差別的な思想のゆがみだと思います。
(2008年01月03日 08時19分42秒)

Re[1]:集団自決(09/29)  
よっぴ さん
さわやかVさん

最近また、教科書問題が新聞で取りざたされていますが
数だけでみると、伊江島の民間人集団自決の人数が
とても多いんですよね。
でも、こんな実情もしらないまま、
数だけ一人歩きしているように思えて。
報道が偏りすぎているように感じます。

指揮官は、みんなを守りたかったのですよね。
そう信じています。

初詣は靖国神社行ってきます。
伊江島の指揮官だったおじいちゃんにお参りしてきます。



(2008年01月03日 22時55分21秒)

Re: 伊江島の悲劇、最後の総突撃(09/29)  
あなな さん
日本軍は沖縄を植民地にし無理やり捨て石にし慰安婦を盾にして女を爆雷背負わせてしかも兵士は酒飲んでレイプしてた鬼畜家畜以下ヒトモドキの集まり

捏造ジャッププロパガンダブログは便所にでも捨てろまた原爆落とすぞ
お前らは生きる価値のないネトウヨジャップゴキブリ
鴻毛以下の命の勝ちなんだから早く自殺してこい嘘つきアルツハイマーネトウヨ老害 (2020年10月17日 16時21分37秒)

Re: 伊江島  
坂東太郎G  さん
「コッペパン🍞小中学校と幼稚園給食」に、上記の内容について記載しました。
もしよろしかったらaccessしてみてください。 (2022年04月20日 14時19分34秒)

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