椿荘日記

椿荘日記

雨の日に聞く曲は・・・




昨日は1日中、雨降りでした。
こんな日は、億劫で外出するのもためらわれます。
窓の外を行く人々の表情も何処となく、寒々としていて少し気が滅入ってしまいます。
そう言う時は無理にはしゃいで、元気になろうとせず、滅入った気分を楽しんでしまいます。
そんな雨の日に聞きたい曲はショパンの24のプレリュード集です。
有名な「雨だれ」前奏曲が入っているこのピアノ曲集は、ショパンがマジョルカ島に、逃避行の相手、ジョルジュ・サンドと滞在していた時に書かれたと言われています。

「雨だれ」前奏曲は一般に知られている曲ではなく(作品24-15)、(作品24-13)ではないかという説があり、恋人サンドが子供達を連れ、下の村(ショパンの胸の病が村民に厭われ、彼らは山の上の古い僧院に滞在していました)に買出しに出掛け、大雨の為(マジョリカ島は雨が多いそうです)なかなか戻って来れず、独り待っていたショパンが、彼らが、もう死んでしまったのでは、とまで思いつめた、その時の不安と雨の状況を音で綴った曲だと言われています。
どれが本当の、と言うより全曲が何か,細かい雨に濡れているような、雨の匂いのする曲集です。

マリが中学生の時、始めて自分のお小遣いで買ったレコードがこのプレリュード集で、演奏者はブライロフスキー(ご存知の方は少ないでしょうね)でした。
モノラルの廉価版でしたけれど、とても叙情的で良い演奏でした(今聞いているのはアルゲリッチ。大好きな演奏です)。
この曲集を聞きながら、当時のマリは絵を書きました。

古いお屋敷の窓に、ピアノを弾いている人影がカーテン越しに見えます(ショパンです!)。それを、背の高い古びた門柱に寄りかかって一人の少女が一身に聞き入っています(マリ?!~笑)。
雨は少女の髪を濡らしますが、彼女は身じろぎもせずただ、その人影が奏でるピアノに気持ちを集中しています。

この絵を心理学の先生に見せれば何か言われるかもしれません(笑)。(もうありませんけれど)
当時のマリは今でいう「引きこもり」(変な言葉ですね)の傾向の
強い子供でした。話が出来るのは母と姉、家庭教師の先生とフルートの先生だけ(大好きな父も駄目でした)で、家に帰ればすることは本を読むことと音楽を聴くことだけ、家から殆ど出ず自室に篭る、そんな状態のマリにとってショパンは心の支え、心の兄とも言える存在でした。
ショパンの音楽は、ひび割れ、硬直し、張り詰めた心に染み込むように入ってくる本当に細かい雨の様な優しさがあります。

いつのまにか朝になっていました(マリが日記を付けるのは何時も明け方です)。
今日はいいお天気。窓から見える小山の紅葉に朝日が差してきました。
今日は父を七沢温泉にある神奈川リハビリテーション病院(パーキンソン病なので)に連れていく日です。残る紅葉を楽しみながら出掛けましょうか。





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