椿荘日記

椿荘日記

美しきコンサートミストレスに捧ぐ



日曜日は、梅雨の晴れ間らしい、少々不安定ながら、久し振りの夏めいた気候でした。
この日は、池袋の東京芸術劇場大ホールで、楽天日記のお友達、lynnさんの所属するオーケストラ「ムシカ・ハルモニカ」の演奏会でした。
lynnさんにお目に掛かるのは(お姿を拝見させて頂くのは)、これが勿論始めてで、何時も日記を拝読させて頂いて、素敵な内容と語り口の文章に、どんな方かしらと想像致しておりましたので、とても楽しみでわくわく(笑)していました。
そして、もうひとつ嬉しいことに、やはり日記上で親しくさせて頂いている、藤枝梅安さんもお出でになるということで、マリがこのHPを始めて、最初からのお付き合いのお二方に、同時にお会いするという光栄に浴することとなりました。

会場は池袋ですので、開設されてまだそれほど経っていない、湘南新宿ラインを初めて利用することにし、飲み物を(勿論いつもの、です)買いこんで、遊山気分で総2階建ての真新しい列車の特別車両に乗りこんで出掛けます。
東京芸術劇場は、マリは今回始めてで、その、ホールというより、ビルのような設えには驚きましたけれど(エスカレーターで二階分以上登ったように思います)、綺麗で広く、これは音響は期待できるかしらと思いました。

かなり余裕を見て出て来たつもりだったのですが、東武デパートの中で軽く昼食をとったり、贈り物の花束を拵えて貰ったりと、随分時間を取ったらしく、ホールに到着した時は、開演十分前で、少々慌て気味にお花を受付に預け、先生と(そう、今回もお供は先生です。夫はクラシックは余り得意ではありませんし、先生もマリのHPを通して、lynnさんや梅安さんをご存知で、とても興味を惹かれてお出ででしたのでお誘い致しました)着席し、開演を待ちます。

曲目はモーツァルトの歌劇「劇場支配人」序曲とストラヴィンスキー「交響曲」、アイブス「交響曲第一番」という、珍しい作品で占められ、マリも聴くのは初めての曲ばかりです(本当に今回は初めて尽くしですね~笑)。
定刻になり楽団員の方々が続々と舞台に姿を現され、お若い方が殆どなのに目を見張っておりますと、舞台の正面の椅子にlynnさんらしき方が。
やはりお若く、とてもお綺麗な方で、文章からは凛々しく、理知的な印象がありましたので、優しくたおやかなご様子に感銘を受けましたが、チューニングですっくとお立ちになり(そう、素晴らしいことに彼女はコンサートマスターでした)弓を構えられた瞬間の引き締まった表情は、文章から受ける、あの凛々しいlynnさんに他ならず、一目でファンになってしまいました。

モーツアルトから始まった演奏は、ホールの良い響きに支えられた、調和の取れた若々しく引き締まった美しい音色で、アマチュア・オーケストラの中でも、抜群の水準であることを物語っており、続くストラヴィンスキーも、著名なバレエ音楽「火の鳥」「春の祭典」とは趣の違う、初めて耳にする曲の面白さもさりながら、やはり演奏の素晴らしさに新しく命を吹き込まれ、息づく様です。

そう、待ちに待った梅安さんとのご対面は、この演奏の後の幕間に実行(笑)されまして、客席に端然と、一人お座りになっている梅安さんにお声をお掛けしますと、ちょっと照れたようにお笑いになって、柔和な表情にそのお人柄が偲ばれます。
バーコーナーで、マリはシャンパンを、梅安さんは赤ワインを飲まれ、先生はマリに散々引っ張りまわされ(!)、お昼間からスパークリングワインのハーフを付き合わされて、少々ふらふらになられたようで(苦笑)、コーヒーを飲まれてお出ででした。
共通の好きな音楽についてや、梅安さんのお好きな歌舞伎のことなど楽しくお話しして、あっという間に休憩時間は終わってしまいました。

最後の曲目であるアイブスの交響曲は、パンフレットに拠ると、非常に演奏される機会が余り無いそうで、十九世紀末の作曲らしく、その時代の雰囲気が良く出ている、興味深い作品です。
今回敢えて難しい曲ばかり取り上げられ、真摯に演奏されている姿にも、音にも、ムシカの方々の意欲を感じました。
勿論lynnさんの落ち着いた演奏振りにも、並々ならぬ演奏家としての誇りと自信を感じ、艶やかで深い音色に先生と共にうっとりと聴きいっておりました。

最後の曲目であったアイブスの交響曲の終楽章をアンコールとして、様々な感激を胸に残しつつ素晴らしい演奏会は終わり、マリも先生も心からの喝采と拍手を、指揮者である森口氏、楽団員の皆さん、そして美しきコンサートマスターlynnさんに贈りました。

すっかりlynnさんのファンとなったマリは、梅安さんや先生と連れ立って楽屋口に押しかけ(笑)、勿論お礼も申し上げたかったのですけれど、一目間近でお姿を拝見し、お話しがしたいと(ミーハーのようですね)、出てお出でになるのを今か今かと待ち構え、一番最後に贈り物やお花を抱えて登場した、我等が麗人に拝謁する喜びを味わい、短い時間でしたけれど、直接お話しが出来、とても魅力的な可愛らしい方でもあることに気付きまして、二重三重の嬉しい発見をさせて頂き、感激もひとしおでした。

優しく、素敵な梅安さんともお別れし難かったのですけれど、遠方よりはるばるお出でですし、引き止めるのも申し訳ないかしらと思い、お名残を惜しみながら、駅でお別れし、ベルテイーニのマーラーの演奏会の時と同様、アフターコンサートは、特別車両の中と地元で行って、素晴らしかったコンサートの余韻に浸るマリでした。




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