椿荘日記

椿荘日記

「D・I・Y」


新居などの準備の為、先にイギリス入りをしていた夫が迎えに来てくれた際乗っていた真っ赤なカヴァリエ(オペル・ヴェクトラ)に仰天し、時差と環境の激変で幾分朦朧としたマリの目にその次に入ったものは、オックスフォードの片田舎の、カーテンどころか床も何も無い、がらんどうの家でした。
夫が買って二階の寝室に置いたベッドが唯一の家具です。
家財道具一式は、後から船便でゆるゆるやって来ます。台所にある、航空便で持ちこんだダンボール二つ分の食器類が、数少ない生活の拠り所でした。
朝食、夕食はガーデンテーブルで取り(取り合えずDIYショップで購入致しました)、寛ぐのはガーデンチェア-です。
イギリスは、家は余程のお金持ちか無精でなければ、殆どを自分で整える、「Do It Yuor Self」の考えの行き渡った国です。彼らは自分で床を張り、壁を塗り、シャワーを取り付け、電気工事もやってのけます(唯その代わり漏電による火災が多いのですが)。
そして庭も勿論です。

彼らにとっての「ガードニング」は土作りからはじまり、我が家もその例外ではありませんでした。
到着したばかりのがらんどうの家で、シャンパンと急ごしらえのカナッペで新年を祝い、剥き出しの床に敷かれたダンボールを足下に、窓の外を見れば庭一面の草原。
芝を敷くにせよ、何にせよ、まずこの大量の草を取り除かなければと、目前に山積みの仕事を思い、ため息をつきました。



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