椿荘日記

椿荘日記

マリ、日本画のモデルを務め、睡魔と闘う


いつの間にか、大好きな赤い山茶花が可憐な顔を覗かせていました。季節が移るのは、本当に早いものなのですね。

昨日は久し振りに、落ち着いた気持ちでの、日本画のお稽古でした。
とはいえ、「夕鶴」騒動で、先生は本職にすっかり影響が出てしまい(マリと同じく面白がりの先生は、新規で「楽しいこと」が見つかってしまうと、画商の注文もそっちのけで、没頭してしまうのです~嘆)、今は三種類(仏画、花鳥画)の「作品」を並列してのお仕事に追われて、青くなって(苦笑)お出でです。
来年は、三月(茅ヶ崎)と秋頃(山口)に大きな個展が控えていますので、注文をこなしながら、新しい作品を書き溜めていかなければならないので、夏、秋と遊んでしまった(?)分を穴埋めをする為に、暫くはお忙しい思いをされなければならないでしょうね。
マリも自分のお稽古の傍ら、先生の助手としてお仕事をお手伝いしつつ、個展の為に新しく企画していらっしゃる作品のモデルも務めておりますので、やはり忙しいと言えば相変わらずなのでしょう。

何度か、この日記でも触れたことがありますけれど、マリは、最初の絵の先生であった、洋画家の方のモデルもやっておりましたので、慣れているつもりでお引き受けしたのですけれど(マリの顔形は「絵」になり易いそうで~それは以前の絵の先生にも言われておりました~「使えるものは、何でもお使い下さい」と申し上げておきました~笑)、日本画の性質上、そのスケッチ=写生は、最初の、いわば企画、設定の為の、「資料集め」の役割もありますので、克明かつ精密で、一つのポーズを描き上げる時間は洋画よりも長く、その間は何としてでも凝としていなければなりません(これがかなり辛いのです)。
日本画は、そのスケッチを元に(見ながら作品に仕上げて行くという事は、伝統的な手法の作品では滅多にないのです)構図を考えながら下図を起こし、それから以降の制作は、以前日記に書きましたように、一つの作品が仕上がる迄、実に沢山の工程と時間を必要とするのです。
それゆえ、絵の具の性質や描法、技法だけでなく、平面構成上からも、日本画の特徴である、工芸的な側面が出てくるのでしょうね。

すでに何度目かの練習(習作)で、「段々形がわかってきた」そうで(マリからしますと、その習作でさえ既に立派な作品に見えてしまう程なのですが)そろそろポーズを決めて描きたいと仰ってお出でです。
作品の主題は、依然描かれた作品と同じとのこと(と、申しましても、実は知っているのですが。これは「企業秘密」ですので~笑、明かせません。御免なさいね)、前回は花々と女性の「手」だけだったのですけれど、今度は顔も全身も入れたいそうで、どんな絵になるのでしょう。とても楽しみです。
今日はこれから、モデルのお役目の為だけに、お伺い致します。
さあ、睡魔と闘うために、今日は何を(とは言え、自由になるのは眼球と耳と舌だけなのですが)しましょうか(笑)。

平成13年10月29日(火)記





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