星の髪飾り

星の髪飾り

2007/10/27
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 脈打つ時間は、アルプスを薄紫から純白へ変えていった。
多希子はオルガンの下に入り込み、せっせと折り紙を折っている。 亜由美は多希子のお下がりのセーターを着て、こたつでみかんを食べていた。
「亜由美、そんなに食べると手が黄色くなるでね!」
「ならんよ、お姉ちゃん!」
 一歳半になった亨は、振り子時計やテレビに目を輝かせ、茶の間を歩きまわる。 茂夫がそんな光景を、笑みを浮かべて眺めているようだった。

 夏休みにラジオ体操をした会社の広場には、薄っすらと白い絨毯が敷かれ、シロの足跡が犬小屋の辺りで消えていた。 真沙は窓辺に寄りかかり、ぼんやり外を見ていた。

「林さん所の上の娘は、前妻の子」                  

多希子が真実を知るには、相応しい時期があり、それを告げるのは自分であると決めていた。 
そんな時、親身になってくれた友子の母の言葉が、真沙の心に光を残した。    
「東京はいいに。 人の噂も遠いでね・・・自由に暮らす人の集まりだっちゅうでね」

「どうした?姉さん・・・」
 残務を終えた幸之が、帰って行く数人の社員に手を振った後、渡り廊下を歩いて来た。    
「窓なんか開けとったら、風邪ひくよ」                           
 音も色もない夜に、儚げな横顔が揺らめいていた。             
「良幸さん・・・すぐというわけじゃないけれど、東京へ出ようと思う。 その時は会社を頼むで」                            

             次回 「長女の自覚」





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最終更新日  2007/10/27 08:32:34 PM コメント(6) | コメントを書く


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