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2024.10.30

見応えある超大作！★「明治大帝と乃木将軍」（1959年　新東宝）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは、映画狂のモイラでございます。

今宵は、かの大蔵新東宝のドル箱であった ”天皇三部作” の最終編
「明治大帝と乃木将軍」

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時は明治37年1月、ロシアは満州の旅順に難攻不落を誇る大要塞を築き、
日露関係は悪化の一途を辿っていた。
明治天皇（嵐寛寿郎）は、ついにロシアとの戦争を決意し、
那須で野良仕事に勤しんでいた乃木希典（林寛）を、近衛師団長に選んだ。
乃木はかつて西南戦争で軍旗を奪われ、申し訳なさから自決しようとしたが、
明治天皇はそのことを全く咎めず、かえって乃木をねぎらった。
その大恩から、天皇を誰よりもあがめていた乃木は、喜んで近衛師団長の任を受けた。
乃木の命で朝鮮から満州へと進撃した日本軍は、鉄壁の旅順要塞に攻め込んだが、
第一回総攻撃は1万5千もの兵を戦死させる大失敗に終わり、
その戦死者の中には、乃木の長男で陸軍中尉の勝典もいた。
そして第二回総攻撃も失敗。屍の山を築くのみだった。
世間では、乃木を無能な指揮官呼ばわりし、彼の更迭を叫ぶ声が大きくなった。
しかし明治天皇は、あくまで乃木の勝利を信ずるのだった……

大蔵貢原作・製作総指揮の超大作です。
まず、旅順要塞陥落までの戦闘シーンが迫力満点です。
やたらと「天皇陛下ばんざーい！」、と死に際に叫ぶ兵たちの様子が
ちょいと戦争を美化しすぎかなとも思われましたが、
まあ、明治天皇が主役みたいな映画なんだからしょうがないか……
次に、乃木の妻静子を演じた村瀬幸子の演技が素晴らしい！
軍人の妻にして軍人の母であり、長男勝典の戦死の報を耳にしても
少しは涙を見せますが、「息子をお国に捧げた」と思い、
哀しみを必死にこらえる様子が、ひしひしと伝わってきます。
夫を「兵隊ばかり殺す無能な指揮官」と罵る民衆によって、赤坂の屋敷に石を投げられても
おろおろすることなく、反撃しようとする書生や使用人らを、静かに止めるシーンは良かったですね。
昭憲皇后役の高倉みゆき（大蔵貢のお妾！）も、
出番や台詞こそ少ないけど、上品な容姿と立ち居振る舞いで、
いかにも「皇后」といった風情です。
アラカンの明治天皇は、もうハマリ役と言ってもいいでしょう！
問題は乃木希典役……林寛もまあ演技がうまいことはうまいのですが、
なんかこう、今ひとつ華がないんですよ。
まあ映画の題名では、乃木は明治天皇の次だから、アラカンを喰うような役者じゃまずかったんでしょうが……
それでも、もうちょっと名の知れたいい男を乃木役にすれば、もっと良かったのではないかと、
モイラは勝手に思っています……

脚本は館岡謙之助、監督は小森白。
ところどころに短歌と詩吟がちりばめてある演出は、なかなかの見ものです。

西南戦争から日露戦争、明治天皇崩御、そして乃木夫妻の殉死までを題材にしたこの映画
歴史の勉強にもなりますよ！
ちょいと天皇や乃木夫妻を美化しすぎてるけど、
観て絶対に、ぜーったいに損はない超大作ですよ！！

★大蔵新東宝の傑作あれこれ！★