花より男子★二次小説　　　夢　桜　庵

びっくり箱（前編）　（１０万打記念ＳＳ）

ビルの最上階にある部屋から青空を見上げた

　俺が１８歳の頃今までの自分がぶち壊れるような出来事があった
牧野と言う女性と出会って自分に色々な感情があったことを思い知らされた
　それは司も同じであれだけ問題ばかり起こしていたのに牧野の存在で激変した
俺も司もやっと一人の人間になったみたいに・・・

彼女は最初俺の事を想っていた
でも、俺はそのとき静を想っていた
俺が彼女のことが好きだと自覚したときはもう彼女の心は司へと向いていた
・・・そして俺は傍で彼女をずっと支え続けることを決心した・・・

司は４年後の約束を彼女にしてＮＹへ旅立っていった
彼女もその約束を信じてずっと司の事を待っていた
待つだけじゃなく彼女らしい頑張りも見せていた・・・

司も頑張っていた・・・・
牧野も司に負けまいと必死で頑張っていた
でも道明寺財閥という恐ろしく大きな組織に司は飲み込まれ
もがき苦しんだ挙句、とうとう両親や役員の言いなりにどこかの令嬢と
結婚することになってしまった

あの頃の司は憔悴しきってたっけ・・・

牧野の姿も見てられなかったな・・・

俺はそんな牧野の傍にずっといて牧野が立ち直るまで傍にいて励まし続けた
それは今も続いている・・
でも今日こそ俺は一歩踏み出すんだ！

ドアをノックする音に気がつき、席に戻った
「失礼します。今日のスケジュールですが・・・」
秘書が一通りスケジュールを言い終えると
「・・・今日、ちょっと病院行くから」

「えっ！副社長今どこか体調が悪いのですか？」

「違うよ。ちょっとね・・・」

秘書になんとかスケジュールを空けさせ、早速ある病院に向かった
病院に行くといってもお見舞いに行くんじゃない
まして診察を受けるわけじゃない
何で行くかと言うと・・・

受付である人物を呼び出してもらうとすぐその人物は走ってきた

「花沢類！何？どうかしたの？どこか具合悪いの？診察するから早く！」
息を上がらせて息をつく間もなく、マシンガントークをし始める
（あー俺が具合が悪いかと思って動揺してるのかな？おもしろい・・・）

「違うよ。牧野にちょっと会いたかったんだ。渡したいものもあったし」

俺のその言葉に牧野ははぁーとため息をついた

「びっくりさせないでよね！急に連絡も無しに来ると
　なにか急病になったのかと心配するじゃない！！心配して損した！！」
ぷぅとほほを膨らます

「心配してくれたんだ・・・ごめんね。でも急に会いたくなったんだ
　顔見れるだけで十分」
にっこり牧野に微笑むと牧野の顔が真っ赤になる
（ほんとこういう所全く変わらないんだから・・）

牧野はあれからすごく頑張った
司との別れでかなりつらかったはずなのに
そのつらさを勉強にぶつけて、とうとう奨学金で有名国立大の医学部へ入ってしまった
途中バイトと勉強の両立は大変だろうから
経済的な援助をすると牧野に言ったら
「自分でなんとかするから大丈夫だよ」
そういって聞かなかった。
でも全てやり切って今は大きな病院の小児科の勤務医として働き出した
「私結構給料安いのよー。奨学金の分が差し引かれてるからね・・
　だから奨学金を払い終わるまでは生活は貧乏のままよ」
そう言っていたが、俺から言わせて見れば牧野はあのときの牧野のまま
内面からすごく輝いて見えた

俺は牧野をずっと支えると言っておきながら、
今では俺が牧野からパワーをもらってる感じだ
牧野は小児科医として、結構人気があるらしい・・・
まぁＴＯＪの時も子供に好かれていたっけ・・・

「今、ちょっと患者さん多いから抜けるの無理だけど」

「あーいいよ。俺も忙しいし、牧野の顔見れたし・・・はいこれ」

「なに？」

「びっくり箱。開けてからのお楽しみね。後で家に帰ったら開けてみて」

「そう／／／分かった。じゃぁまたね。連絡する」

「了解」

そう言ってお互い別れた

帰りの車の中で

（牧野、目が出るほど驚くだろーなー。　
　あの中に入ってるの婚姻届と婚約指輪なんだよね・・・
　俺の署名と親の署名入りなのを見てどう思うかな・・・
　きっとすぐ電話くるぞ。楽しみ・・・）

花沢類は鼻歌を歌いながら車の中から流れ行く景色を見ていた

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