花より男子★二次小説　　　夢　桜　庵

新たな道へ　９

花沢類は、父の遼に言われた数日後、秘書と共に出版社の前に来ていた


花沢類の姿を捉えた出版社の重鎮が恭しく出迎える


「これはこれは・・・今日はわざわざご足労頂き、


　ありがとうございます」


「いえ・・今日は映画の原作となる小説の選定をされるとか・・・


　今日からお世話になります。」


そう言って出版社の重役達と握手をかわし、


選考をしている会議室へと向かった


会議室の扉を秘書が開けるとそこには山積みにされた


小説の原稿とそして選考メンバーが揃っていた


選考メンバーが花沢類の姿を捉えると一斉に立ち上がった


「ああ・・そのままでいいから・・・


　もう知ってると思うけど・・これからよろしくね。


　年齢も俺の方が若いかもしれないからあまり敬語使わなくていいから」


花沢類はにっこりと微笑んだ


選考メンバーの中には女性も多く、皆花沢類のルックスと


その微笑にうっとりとしていた


「花沢様も来られたことですし、選考を始めましょう」


プロジェクトメンバーの代表がそう言うと


皆席に着席し、各々選考作品の批評をはじめた



＜２１＞


皆の批評を聞いている中で、ふとひとつの小説に


目がいった


それは、身分違いの恋愛をした一人の女の子が


様々の困難で恋人と別れ傷つくが、立派に立ち直り


自らの力で成功を収めていくという物語であった


最後は新しい恋愛をし、ハッピーエンドとなってるけど・・・


（これ・・・なんだか牧野の姿を見てるようだ・・・）


しばらくその小説に目を落としていると


プロジェクトメンバーの一人が


「あーーそれ・・・締め切りぎりぎりで持ち込まれたものなんですが


　現代のｼﾝﾃﾞﾚﾗｽﾄｰﾘｰってだけじゃなくて


　自力でも成功をおさめていくってところがいいって、


　結構私達の中でも評価が高いものなんですよ」


「これを書いた人は？」


「２０代前半の若い女性でしたよ。確か名前は・・・」


首をひねって考え込んでいたが


「あっそうそう、なんかその子事情があって実名を出したくないとかで


　ペンネームで提出されてますね。確かペンネームは


　春野日向（はるのひなた）さんだったか・・」


「ふーん」


花沢類は、どうしてだか分からないが


これを書いた執筆者が気になって仕方が無かった


何かを予感させる・・・


「これ・・俺これがいいと思うけど」


花沢類はつくしの書いた小説を持って皆に言った


みんなが花沢類の方を向く


「この小説、みんなの評判がいいって聞いたけど、


　俺もこれ・・いいと思うよ。これなら映画化しても


　映像的にもターゲットにする年代層に共感されやすいと思うし


　これでいいんじゃない？」


花沢類のこの一言により


つくしの小説は映画の原作として入選が決まったのである






一旦は皆の下を離れたつくしが


これから花沢類と出会うのはそう遠い先ではなくなった


二人が出会うのは必然なのか偶然なのか・・・


再び運命の輪が交錯する・・・






つづく





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