お暇なら来てよね♪

涙のキャンパス 第4章 第三節


 事務所に戻った光二は、今回の事件を整理しようと思った。
 しかし考えても考えても、一向に考えがまとまらないのだ。あまりに突拍子も無い話を聞いてきたため、混乱
しているようだ。
 そんな事をしているうちに、ゆり子が葬儀から帰ってきた。
「光二君どうしたの? かなり疲れてるように見えるけど。」
 そりゃそうだ。捜査は進展をみたが、推理出来ていないのだから。
「実は、三上先生は双子で孤児だったんだ。」
「・・・・ふぅん。双子で・・・・え?!」
 驚くだろうとは思っていた。
「赤ん坊の時だったから本人にはそんな記憶は無いだろう。双子のもう一人は行方不明で会う事は出来なかった。」
「そうだったの‥・・。そんな過去があったなんて、知らないまま先生は・・‥。」
 今にも泣き出しそうなゆり子をなだめるように言った。
「知らない方が良い事もあるよ。」
 ゆり子が来たおかげで、光二も多少落ち着きを取り戻した。
 三上が死に、稲垣が死んだ。そして見つからない本田。状況的に学校に容易く侵入できて、鍵をかけられるのは
校長である稲垣だ。三上を自殺に見せかけて殺したと考えられる。それを知った本田は、逆上して稲垣を殺害。
「しかし、遺書と睡眠薬。」
 そう、三上の事件では遺書がネックになっていて、稲垣の事件では睡眠薬がネックになっているのだ。どちらも
本人の意思無く用意できるものでは無い。
「うーん。わからない事だらけだ・・‥。」
 突然、事務所の電話が鳴った。
「はい、神谷探偵事務所です。」
 電話にはゆり子が出た。
「あ、少々お待ちください。光二君、上条って言う女性からよ。」 
 上条‥・・? 大友の婚約者だ。その婚約者からなぜ?
「もしもし。」
「あの・・‥私、大友康彦の関係者で上条麗美と言います。さっき本田という人から電話があったんです。」
「本田から?!」
 本田、なぜ大友の家に。
「大友さんはいらっしゃらないんですか?」
「はい。その少し前に女性から電話がきたんです。三上さんの妹とおっしゃる方でした。」
 早苗か?
「それで、大友さんは?」
「はい、その電話の後出て行きました。私には『浮気じゃない。心配ない。』と言ってました。でも、その本田と
言う人から電話があって、康彦さんが三上さんの妹さんに会いに行ったと伝えると『やばい』って言って電話を
切ったんです。私、心配で‥・・それでどうしようも無くて・・‥。」
「大友さんはどこに行ったんですか?」
「大城高校と言ってました。探偵さん、康彦さんは大丈夫なんでしょうか?」
「心配しないで下さい、俺も今からそこに行ってみますから。あなたはそこから動かないで下さい。」
 そう伝えると光二は電話を切った。そして、すぐにゆり子と学校へ向かった。

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