めたもるの空間(とってもすぴりちゃる)

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バーカーの精霊魔法学校、特別個人授業がしばらくお休みになった。
やたらとうるさいし、ぎゃーぎゃー騒ぎながら授業するしで、脳内でハードロックかパンクのコンサートをフルタイムで聞いてるような状態だったから、しばらく休みがあるのは嬉しい。

バーカーが普通の精霊と違う点が幾つかある。
まず彼の会話はしっかりと記憶に残る。普通の人間と会話してるのと変わらない。
それと疲労感がほとんど無いのだ。

だから長期間の会話をやる気になったと言う部分もある。
バーカーが休養を取ると言ったのは、ある仕事を引き受けたからだ。
その辺の詳しい内容はeshasさんところのブログを読むと分かるのでここでは書かない。
相当な破壊活動を行ったらしく、疲労困憊で帰ってきた。


ハトホル:ぬしに見せたいものがある。
わたし:え~、ちょっと今は取り込み中だが。


ガイド覚醒の影響で夢見術を使えるようになり、好きなシチュエーションの真っ最中に現れたのだ。
何をしていたかというと、大量のゾンビに囲まれたビルの中で山と積まれた武器弾薬から対物ライフルを探し出して設置してるところだったのだ。
周囲には同じように閉鎖空間に閉じ込められつつ、全力で戦わなくてはいけない状況で男女が完全武装で仁王立ちしている。
設置が終わり、サブウェポンとしてショットガンに弾薬を詰め込み、手榴弾を並べてるところにゾンビが押し寄せてきた。

わたし:何の用か手短に言ってくれ!! そっち、押し返せ!

ハトホル:こいつらは何だ? 死体が動くとは面妖だな。

わたし:入り口にグレネードだ! 数秒止めろ! C4を撃ち抜く! 単なるゲーム設定だよ。

ハトホル:お遊びは後にして、一緒に来い。

わたし:・・・、わあった。


情景がくるりと変化し、どこかの丘の上に二人で立っていた。
びょうびょうと風が吹き荒び、冷たい空気が頬を打つ。潮を含んでいるのは、肌がじっとりと濡れてくるようだ。
空は低く垂れ込め、辺りは荒野とも見える。
丈の短い草が生い茂ってはいるが、土地は痩せてるようだ。遠くに古びた屋敷や家が見えるが見たこともない様式だ。
ヨーロッパのようでもあり、もっと中東のような感じもする。


ハトホル: バーカーに頼まれた事がある。こっちへ来てくれ。

ハトホルは、私を案内して崩れかけた石壁の中央に開いた穴の中に入った。何か巨大な建物の一部だったのだろう。
かなり大きな敷地の一角に建っていた塔のような建物が半分崩れかけている。


背中を大胆に開けた服なので、後ろから見るとほとんど全裸にしか見えない。暗い空間に浮かび上がる肌の色は妖しいほどの妖艶さだ。

やがて一つの部屋の前にたどり着いた。私はこの時にはどこに連れて来られたか、だいたい気が付いた。
ごとりと重い音が響き、ドアが軋みながら開く。中からは生臭く、鼻をつくような異臭が漂って来た。

最初、暗くて分からなかったが、部屋の中は汚れて壁一面が何かで覆われていた。
それは血だったのだ。


わたし:見せたかったのはこれか?


私の問いかけにハトホルは答えず、部屋の中心を指差した。何かがいる。
それが思いがけず動いたので、ようやく私はそれが「人間である」と気が付いた。
壁と同じく全身が血まみれで髪も汚れきっていた。服は来ていない。
床にうつ伏せて全く身動きをしていなかったので、気が付かなかったのだ。
のそりと動きだし、ゆっくりと顔を上げた時、私はその人間の顔を見た。若い女だ。
だがその顔は異様だった。

まぶたが縫い合わされ、目を開けることは出来ない。
唇はひび割れ、紫色に変色している。何かを喋りたいのか口を動かすのだが、全く声が出てこないのだ。
よく見ると舌が無いようだ。さらに喉を見ると大きな傷が横に走っている。
処置を施した人間は、よほどこの女に喋って欲しく無かったのだろう。
手を上げて何かをつかもうとするが、指先は潰されている。足も同じだった。
うーあーと音を発しながら、女は私たちの方ににじり寄ってくる。その表情を読み取ることは出来ない。


ハトホル:ぬしならどうする?


何をどうすると言うのか、ハトホルは私に尋ねた。私は無意識に前へ歩き出し、女の腕を掴む。
手を女の背中に沿わすと、ひどい傷が触った。胸元にもある。
私は手を当てようとしたが、それを止めて女を抱き上げた。ハトホルが怪訝な表情をする。

ハトホル:意味のない事を。この女は記憶の影に過ぎぬ。手当てなど無用。

わたし:分かってるさ。何もしない。消去までこうしてるだけだ。

ハトホル:それがぬしの答えか?

わたし:答えなんか無いさ。こうしたいって思っただけ。


ハトホルが頷くと、私は真っ暗な空間に浮かんでいた。手は何かを抱き抱えたような格好で。


ハトホル:この件についてはバーカーに世話になった。あの者が回復するまでわらわがぬしの相手をしよう。

わたし:そう言う事ですか。了解です。


あの部屋で見た壁、血で濡れた壁面には何かの文字がびっしりと書き込まれていたのだ。そしてあの女性の唯一の持ち物にも。

それを消し去るのは大変だっただろう。そりゃ疲れるわ。





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最終更新日  2014.02.09 23:03:11
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