碧山窟

里山を買うまで(F)


「まだ煮えない。」
「隣のババさん、今なんじ~。(笑)」

タラノメのせて

私たちは、秋のアウトドアパーティーをはじめました。
みぃんな、それぞれに、「持ち寄り品」を調理しています。
第四のぢぃさんは、投網で捕った「アユ」を提供しました。
あっちでは、シシカバブ。こっちでは、グラタン。
第四のぢぃさんのお宅で、「やどり」です。
20年もアウトドアしてれば、沢山の失敗を重ねただけに、手際のよいこと。
ワインの栓が抜かれ、缶ビールをぷしゅっ!
私は「蔵ごともらうぜ」の箱の酒。
酒をメインの汁に、どばどばっと入れました。
汁の身は、私の山で取れた「スギヒラタケ」です!!

*

「あのときの汁、うまかったよなぁ。」
医師の彼は、ニュースに仰天して言いました。
「間違いなく、俺たち、スギヒラタケ食べたよなぁ。(笑)」

*

私は、友人たちを案内しまた。
ここがお隣さんとの境界だよ。山の境界ってのは、谷すじなんだ。
神様のところにいってみよう。
何か贈り物があるから。
巨大な岩石に彫られた小さな祠の前で、みんなの呼吸は静かになりました。

これが、「スギヒラタケ」。おいしいんだよ。

この葉を揉んでごらん。いい香りがする。キクロモジだよ。
登ってみよう。
ここいらは、春になると一面のカタクリとイカリソウだ。
ウスバサイシンあったでしょ。ヒメギフチョウの食草だよ。
この木のうろは、フクロウが使っている。
あっちの杉の木はサシバだよ。

この山をどうするかって?

鳥と虫たちに聞くよ。
どうすれば、「おいしいしあわせ」の共有ができるかねっ。

タラノメタケノコピザですよ~

さあ、頂上をめざそう!

*

里山に太陽がのぼりました。
パーティーはおひらきです。
あとかたづけがおわったら、私はお茶。みんなはコーヒー。
「そうだ、今年は、きょろろろんて、鳴いたぞ。」
すっかり、「工房ヤマセミ」の主になった第四のぢぃさんは謎をかけます。
「南蛮ドリかよ。(笑)」
「んだ。」

みんな、どうしてるかなぁ。
私は、台湾の文通相手を思い出しました。

*

友だちは、それぞれに、散っていきます。
「さよなら。」「またね。」「次回の予定は。」
「トンボの越冬場所つくり。」「わかった。」「じゃあねっ。」

さてと、私もおさらばしよう。

そのとき、一台の青い軽自動車が道路の向こうに見えました。
運転しているのは、30代前半の男性。
となりにいるのは、初老の女性。

初老の女性は、葺き替えられた新しい屋根を見つめていました。
そのあと、私の里山を見つめました。

30秒ほど停車して、軽自動車は走りはじめました。
ゆっくり。次第に速度をあげて。


目を閉じると、川のせせらぎが聞こえます。


私は里山の空をみあげました。

*

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