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MAD GIRL
―花鳥風月―第3章
パート3。
『愛ってヤツ。』
愛って突然やってきて、
突然去りしもの。
だから分からないんだよね。
「・・・・。」
学校サボって、詩音に相談のってもらっちゃって。
何やってんだか。
アキラを許せない訳じゃない。
ただ・・・。
その行動にムカつきを感じるだけ。
「なぁ・・・。どーすんだよ。」
「え?」
急に話しかけて来る詩音に、少しだけ動揺を見せるわたし。
だって・・・、ねぇ?
「彼氏と・・・、アキラとは・・・。」
「ぁ・・・、うん。」
わたしは、二人にどう接していいか分からない。
取り合えず聞きたい。
秋ちゃんの声。
「ちょっと・・・、TELしてみるわ。」
「うん。」
携帯を鞄から取り出して、コールをかける。
何?
なんか・・・。
嫌な予感がする。
「・・・・。」
出ない。
「どうした?」
「え・・・?ううん、出ない・・・の。」
授業中?
まさか?
だって、時刻は12時50分。
ちょうど昼休みのはず。
「・・・・。」
不安だけが押し寄せる。
ねぇ、お願い。
わたしを奈落の底に陥れないで。
「出ない・・・、とか?」
「・・・ん。」
コールを切って、電話を閉じるわたしに、詩音がふいに声をかける。
出ない・・・。
出ないってオカシイ。
だって、いつもこの時間にTELすると電話に・・・。
「おかしい・・・よ。」
「え?」
ポカンと口を開くわたしに、詩音は耳を傾ける。
「だって、いつも・・・。」
「たまたまなだけかもよ?」
「・・・・だといいけど。」
不安の波だけ。
その波だけがわたしの頭の中を行き来しているの。
ずっと、ずっと・・・。
波がひくことはなくて、ずっとモガイテイル。
誰か・・・。
どうか其処からわたしを救って・・・。
ブー・・・、ブー・・・。
「!?」
突然の携帯のバイブ音に、わたしは反応する。
秋ちゃんカモ知れない・・・!
ただ、それを願って携帯を開くの。
ええ。
絶対、絶対彼だって。
そう思っていたから。
「・・・・・・・・・っ。」
送信者;アキラ
本文;今、秋人±ωト一緒ナょωナニ゛ぁ~☆ユキも来るぅ?
最低。
ドウシテ?
どうして・・・?
この時間、秋ちゃんは学校でしょう?
何で・・・?
何でアキラなんかと・・・っ。
心に硝子が刺さった気がした。
どうして・・・。
わたしは・・・。
「ユキ・・・?」
「詩音・・・、わたし・・・。」
愛と友情。
友情と愛。
どれもが全て、儚く思えた。
愛ってヤツ。
そいつは時にうざったさを感じさせるよ。
「秋人と・・・アキラ・・・。一緒に居るって・・・。」
「・・・は?」
其処に愛があるのなら・・・。
どうか答えて。
何もないよって・・・。
メールでも、何でもいいから・・・。
お願いよ。
お願いだから・・・。
「どうしてかなぁ・・・。」
アキラはズルイよ。
どうして?
どうしてそーゆうことするの?
わたしはまた携帯を取り出し、彼に電話をした。
プルルル・・・。
鳴り響くコールの音。
何十にも重なって、まるで壊れたオルゴール。
どうして?
どうして出ないの?
やましいことがあるから出れないの?
「・・・・。」
「ムカツク。」
「ぇ?」
詩音がポツリと吐いた言葉。
ムカツクの一言。
「彼女居るのに、他の女と会って、しかも電話にでねー・・・。」
「ぁ・・・。」
詩音が苛つく必要なんてないのに・・・。
わたし、迷惑かけてる・・・。
「いいよ・・・、もう。こんな話・・・やめに・・・。」
「何いってんだよ?」
冷たい言い方をする詩音に、わたしは少し憎悪を感じた。
すると、詩音は、わたしの携帯を取り、誰かに電話し始める。
「詩音!?ちょ・・っ、返して・・・!」
わたしの必死な抵抗も適わず。
身長の差が激しすぎる。
わたしと彼は、役20センチも違う。
無意味な抵抗。
「もしもし?」
「・・・・・っ、詩音っ!」
TELをかけた相手は・・・?
まさか・・・っ!
「もしもし?アキラ?」
「・・・っ!?」
アキラッ!?
『斉藤君~?どぉしてぇ?ユキはぁ~?』
「テメー、何人の男とってんだよ。」
『えぇ~?とってなんかぁ・・・。』
携帯電話での通話。
アキラの声は丸聞こえ。
どーしよう・・・。
もし、もし・・・。
聞きたくない言葉を聞いたら・・・。
わたし、聞きたくないっ!
「ユキの気持ち考えた事あんのかよ!」
『けど・・・。好きになったものはしょーがないじゃん。』
「はぁ!?」
わたし・・・。
わたし・・・。
消えたい。
「・・・詩音・・・。」
「あ?」
低い声で彼が返事をする。
嫌だ・・。
これ以上何も聞きたくない。
「秋人・・・、いるか聞いて・・・。」
「・・・・分かった。」
何も聞きたくなかった。
知りたくなかった。
真実ってヤツを。
だけど、それを聞かなきゃ何も変わらない。
何一つ。
先が見えないから・・・。
だから、だからわたしは・・・。
「・・・彼氏にかわって。」
『いいよ~。』
知らなくてもいいけど、知りたい部分もあって。
その真実を聞き入れたくなくて・・・。
無残に残る傷が、また私の腕を犯す。
そのカッターってゆう刃で。
わたしの腕にまた傷を掘る。
「・・・もしもし。」
「・・・・・ユキ・・・。」
聞き入れたらイイ。
素直に何も感じないで、あっそ~って・・・。
そう流せてしまえば痛くない。
けれど、それが出来ないから悔しくて痛い。
「どーゆう・・・こと・・・?」
「・・・ごめん。」
ごめんと、一言言った彼に、わたしは苛つきと悔しさがあった。
どうして?
どうして・・・?と。
何度も何度も問いかけた。
アナタはわたしにこう言った。
『わたしだけ』と。
好きな人はわたしだけだよと。
気の変わりがないと言った。
嘘だったんだね。
アイシテルとかダイスキダヨとか。
そんなのは嘘。
その言葉に「気持ち」なんて、一つもなかったの?
ねぇ。
なかったんでしょう?
「何・・・で・・・、謝るの・・・?」
何もないなら謝ることないでしょう?
ねぇ・・・?
何もないんだよね?
「・・・ごめん・・・。」
ただ、ただ謝るだけのアナタに。
わたしは何も言いたくなかった。
だけど、悔しくて、悔しくて・・・。
「嘘つき。わたしだけって言ったのに・・・、嘘つき・・・。」
『俺は・・・、ユキが好きだし・・・。』
「何も聞きたくない。サヨナラ。」
途切れた電話に、またベルが鳴ることはなかった。
言い訳の電話もないし、謝りのメールもない。
アナタの愛ってヤツは、その程度だったの?
最低。
「・・・っ、ぅ・・・っ・・・。」
「ユキ・・・。」
ただ、声を殺して泣く事しか出来なくて、そんな自分が惨めだった。
弱くて、何も出来なくて・・・。
わたしは自分の無力さを知った。
腕に出来るキズアト。
それはただ、自分の弱さを主張するだけの傷。
今日の出来事でその事を知ったよ。
アナタのお蔭。
そうとは言いたくないけど、実際そうだから。
「ごめ・・っね・・。詩音っが・・こんなこと・・・、しなくていいのに・・・っ。」
泣きながら、しゃくれ声で必死に喋るわたしに、アナタはただ、わたしの頭をポンポンって。
言葉はないけれど、それが一番の優しさって、ちゃんと伝わってきたよ。
ありがとう―――・・・・・・・。
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