ワンコの食事拒否



ゆんたは、出会った当初から少し小振りの子で、
食事を食べてくれない事に悩んだ。
あの手この手を尽くしても食べない。

犬に関する本は、何冊も読んだ。
生活に支障をきたすほど読んだ(^^;;

出会った当初は、沖縄のある救急病院で看護婦として忙しく働いていたが、睡眠時間を削ってでも自分がこれから一緒に暮らす「犬」についてもっともっと知りたかった。
そんな風にして、ゆんたを迎える日を心待ちにしていた。

これまで私が知っている犬は、
食事をあげると「足りないんじゃないか?」と思うくらい秒速で食べる子ばかりだった。
そんなものだと思っていた。

ところがゆんたは、我が家に来て数日間調子良く食べただけで
ご飯を前にしても困った顔をしてすぐ食べるのを止めてしまう。
きっと病気だーーー!!

看護婦のくせにあたふた(^^;;

他に病気を疑わせる症状はないな~と、
チョットは冷静に思いながらも獣医さんに相談。
けれどやっぱり異常なし。

その医師を信用していないわけじゃなかったけど
家に帰ってからもゆんたをひっくり返したり抱っこしたり、
ウンチを見つめたり、何かないかとずっと調べる私。

ゆんたは「遊んでくれるの?」と喜ぶばかりで非常に元気だ。

おかしい、これは何なのだろう?

ともかく調べてみようと思い色々と見るうちに、
愛犬が病気でもないのに食事を食べず悩んでいる飼い主さんが案外多いんだという事を知った。

何だ、そうなんだ!そういう事もあるんだ!
と、ホッとした。

家族と実家で暮らすレトリバーは、
そういう事では飼い主を悩まさなかった。
メスなのに「ダーリン」と妹に名付けられた彼女は、子犬の頃は破壊王として君臨していた。

大きくなってからはその破壊も息を潜め、時折、真夜中に枕元に立ち、暗闇から荒い息遣いで私の年老いた母を驚かす位だった(・・・ホントはまだ50代・・・)。

ゆんたは夜もよく眠る。
トイレに飛び込んだりもしない。
襖を倒して歩いたりもしない。
あの子とゆんたを同じに考えてはいけない。

当たり前の事にやっと気が付いた。

体験談とアドバイスによると、
「病気でない犬の食事拒否は飼い主との根競べ」とある。

なるほどなるほど。

「食事の種類を何種類も変えてはいけない。」

・・・がーーんっ。

もうすでに変えている。
そうする事によって、
「これを食べなければもっと美味しい物が出るはず♪」と、
犬が学習してしまうんだそうな。

そうか、すぐに食事の種類を変えた私が悪かったんだな。
原因が分かると共に微妙に落ち込む。

自分にややがっかり。

誰かが同じ失敗をしないように心に留めておこうと思った。
その時には沖縄から鹿児島へと引越していて、
教える相手も友達もいなかった。
誰に教えるつもりだったんだろう?

ともかく未来の犬友達のためにそう思った(食事拒否は引越しのストレスもあっただろう)。

ゆんたと私の根競べが始まった。
食事を出す。
ゆんたはすぐ止める。
止めたらすぐ片付ける。

これで、
「出された時に食べないと片付けられちゃう」と学習するはずだ。

犬は「数日間食べなくても大丈夫」だし、
「食べ物を前に餓死する犬はいない」という。

繰り返しチャレンジしたが、一向に覚える気配がない。
育ち盛りのゆんたの体重が増えないのも気になる。

ここで私のちょっと曲がった性格が「こんにちはー」と顔を出した。

マニュアル通りが正しいとは限らない。
こんな小さな体で長時間絶食をしたら、低血糖を起こしたりしないだろうか?
食べない事による良くない影響が絶対ある!!

・・・犬用ミルクに手を出した。
粉ミルクを振りかけたら食べてくれないだろうか?
すると、何と、調子良く食べるではないか。

よしよし、来た来た、OK!と、思った。

ところが、何という事でしょう・・・。

数日間食べただけでまた食べなくなった。
考えてみれば当然である。
フードの種類を変える事も、美味しい粉ミルクをかけてあげる事も同じだ。

「これを食べなければもっと美味しい物が出るはず♪」

ゆんたは確信したに違いない。
自分にがっかり・・・。


色々と試行錯誤しながら、3粒ずつ位なら手で持っててあげると食べる事が分かった。
何て甘えん坊さんなんだろう。困ったな~と思いながらも、ゆんたが可愛くて仕方がなかった。

彼は、仕事で何日も家を空けるし、知らない町だし、方向音痴だし、一度家を離れると帰って来られる自信もない。

私は、インターネットで調べまくっていた。
ふと目に留まったのは、
「気分を盛り上げてあげる事で食べる子もいる」という記述。
これだ~!と思った。

妙にテンションの高い飼い主が楽しそうに食事を持ってくる。
怪しい事、極まりない。
知らない人が見たら変な人だと思った事だろう。

「♪ゆんたがご飯を食べる時の歌♪」まで作った。
3番まであった。
どこかの国もびっくりの、ゆんたを褒め称える歌に、彼も引いたに違いない。間違いない。
隣近所も迷惑だったかもしれない。

兎にも角にも、それでゆんたは食べたのだ。


ゆんた、ご飯を食べてくれてありがとう♪
他人からはどういう風に見えても、嬉しい飼い主がここにいる。

今はもう歌がなくても食べてくれるようになったけど、
彼は最後まで笑うだけで一緒に歌ってはくれなかった。
彼はいつも笑っているような気がする。

愛犬がご飯を食べずに困っている飼い主さん、ご参考にどうぞ♪


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