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2004.09.06

(8)

テーマ：レンタル映画(833)

カテゴリ：アメリカ映画

見終わった後。

率直に思っていた。
苦しい、映画だったのだが。

私はこの映画を
ドキュメンタリーだと受け取った。
スーザン・サランドンは
ずっとシスター・ヘレンで、
ショーン・ペンはずっと、

演技の上手い俳優は向かい合わせになり、
役者として表現したのではなく、
『そのもの』になっていた。
そう、みえた。
おそらく多くの人々は
ヘレンの立場にも
マシューの立場にも立つ可能性は少ない。
だが現実として「存在」するのだ。
これは映画ではあるが、
映画の感動はカケラもなかった。

シスター・ヘレンはどんな命も

思っているように見えた。
マシューは自分の罪とはべつの次元で
ただ生きていたいと思っているように見えた。
殺してないといいながら
差別発言を繰り返し、

母に対して見せる顔は違っていた。
母から生まれた
一人の人間の顔に見えた。
だが加害者である。
被害者がいて、
残された家族がいる。
シスター・ヘレンは精神アドバイザーとして
彼にずっと付き添っているが、
何をどう救うのか彼女もわかっていないように見え、
最後まで一緒にいることが自分の勤めだと
心の底から思っているようにも見えなかった。
ただ、そこにいることしか、
出来なかったし思いつかないし、
術はなかったのかも知れない。

死刑は執行される。
ずっと封印していた自分の「したこと」が明かされる。
それはもう消せないことであり、
だからこそ彼は死刑囚となったのだ。
「したこと」に対する謝罪が
最後に選んだ彼の言葉だったのである。
ならば、
シスター・ヘレンは
自分の知っていることしか
出来なかったように見えた。
最後に彼女が出来ることは
聖書にしかないように見えた。

観る前は
少し勇気が必要だった。
映画には映画の感動を期待する。
明日への糧であったり、
自分への戒めであったり、
或いはシンプルな喜怒哀楽を
味わうのも映画の愉しさである。
しかし時折、違うものが届くこともある。
スーザン・サランドンは
ずっとシスター・ヘレンで、
ショーン・ペン、死刑囚のマシュー。
ティム・ロビンス監督作品。
その二人を見通すまなざしは
面会のときのガラスだったり、
役者の視線に反射しているように見えた。

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