2004.11.15
XML
カテゴリ: アメリカ映画
屍の上に立っているのだ。


ネイサン・オールグレン大尉は披露していた。
アル中の彼は愉快そうに観衆に向けて発砲する。
「この銃はとても良い銃」なのだ、と。
インディアンの命を奪った銃。
命を奪うごとに、銃は改良を重ね、
新しい時代の武器として進化してゆくのだ。
ネイサンは銃と共に日本にやってくる。

日本の軍隊に軍事訓練をする「契約」のために。
やがて彼は「刀」を手にする。
甲冑をつけ戦場を勝元ともに駆け抜けてゆく。
もちろんその理由は「契約」などではない。
短い間ではあったが濃密に積み重なった信頼関係。
赤い甲冑はかつてネイサンが殺した侍のものだった。
死者の魂を身につけて彼は戦場へと向かう。

大村は生きることを渇望していた。
兵器や鉄道とともに新しい未来を生きようとしていた。
それを否定することは出来ないだろう。
明治天皇もまた新しい時代を受け入れる。

進めばいいのだ、
思うままに生きてゆけばいいのだ。
だが、忘れてはならないものがある。

古き時代は屍に。
勝元が仏前で弔うのは屍の魂。


新しいものは生まれないのだ。
新しい時代など生まれるはずがない。
その屍なくして「生」はあり得ない。
何も地上に、
存在することも出来ない。

政府の兵隊はお仕着せの銃と訓練に戸惑っている。
だが勝元の村の侍たちは鍛錬を欠かさない。
お金にまみれ近代的な軍隊は大村の私物となり、
勝元のもとには熱き信頼で結ばれた侍たちが集う。
ネイサン・オールグレン大尉は、
忘れていた魂を取り戻す。
報酬ではなく命令でもなく
ましてや「契約」でもなく
ただ己の思うままに戦おうとしていた。

トム・クルーズの殺陣の中に、
彼のこの時代の文化への憧れが見え隠れする。
渡辺謙、真田広之、ら日本の俳優たちの戦いの表情を、
余すところなくカメラは捉えている。
日本ではないが自然は美しく、
時代を写し出そうとしたセットは素晴らしい。
小さな矛盾までも
飲み込んでしまう迫力がある。

武器は進化する。屍の下に生ある者は立つ。
だが死者もまた生きていたのだ。
死を美化してはならない、決してそれはいけない。
だが先達への敬意は忘れてはならないのだ。

勝元の死に誰もが頭を下げた。
それはハリウッド的な演出ではあったけれど、
先達への敬意に他ならないのである。



追記:書き足りないので、久しぶりに【黒】レビューで遊ばせてもらう予定してます!!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004.11.16 01:13:19
コメント(12) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

トーベのミー

トーベのミー

Favorite Blog

最新続編映画情報 ocobaさん

milkyの花魁? ミルキー5252さん
いろんなこと ジュンチ+さん
9と3/4 《Platfo… chihaya-Mさん
ちのぴぃの雑記録 ちのっぴいさん

Comments

坂東太郎9422 @ Europe支社 宜保律子「健やかな心と体を育てる学校給…
http://buycialisky.com/@ Re:●●●黒い家(06/02) safe dosage for cialiscialis denavir fl…
http://buycialisky.com/@ Re:●●●穴/HOLES(06/22) cialis med storehangisi daha iyi viagra…
http://buycialisky.com/@ Re:●●●ふたりにクギづけ(08/29) take both viagra and cialiscialis for s…
http://viagraessale.com/@ Re:●●●黒い家(06/02) viagra halicyte &lt;a href=&quot; <sma…
http://viagraky.com/@ Re:●●●穴/HOLES(06/22) types of viagra wiki &lt;a href=&quot;…
http://viagraiy.com/@ Re:●●●ふたりにクギづけ(08/29) can you order viagra online legally &l…
http://buycialisonla.com/@ Re:●●●ロザンナのために(04/21) cialis vs viagra vs kamagracialis recre…
チラシ@ Re:●●●終わりに見た街(12/03) 自分は2005年のドラマ版を観て、多くの人…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: