●●●新選組！～どうやって、生きるのか

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2004.12.12

(5)

テーマ：新撰組！(305)

カテゴリ：テレビ番組作品

『これから京へ出発する試衛館の八人。

迫る、刻限。
近藤勇、斬首の刑場が準備されている。

座敷に座し何を想うのか、勇。
おたまちゃんと同じ年頃の娘に
ゲンコツを口に入れてオドケている。
笑顔を彼は、見たかったのだ。
愛しき人たちとだぶらせるために。

敵味方に別れてはいたが、共に戦ったには変わりない。
勇は、敗軍の将ではない、
最後まで戦い抜いた「近藤勇」なのだ。

だが、迫る刻限。

西郷隆盛は有馬の手紙を退ける。
近藤勇には役目がある。
この戦いで散っていった命と
この戦いで傷ついた者たちの心のはけ口、
恨みを背負ってもらろう、と。
勝海舟もまた、
勇の死の意味をわかっていた。

だが、そんなものには意味はない。
どうやって死んだか、ではない。
どうやって生きたのか、だ。

どうやって、生きたか。

最後まで沖田総司を守ろうしていた。

滝本捨助は、いち早く死出の旅に旅立つ。
呼ばれもしないのに
再び、勇の前に現れるために。

勇は、刑場へ向かう。
歳三との拾ったコルクは置き去りに。

だが、歳三は、戦いの最中も、
コルクをお守りだと、胸に抱いていた。
最後まで、戦うこと。
それが、土方歳三の生き方である。
ずっと、彼の胸には、勇がいる。

刑場にて、うなじを差し出す。

目に映るは、悠々と泳ぐカエル。
色鮮やかな紫の紫陽花と、水におどる魚たち。
目に映るは、ただ、
生きている、というだけ。
彼は無精髭を剃ってもらい髪を整え、
もう一度、うなじを差し出す。

「トシ」

最後まで彼は、友に語っていたのだ。

いろんなことを、
いろんなことを。

語るべき事柄は山のようにある。
嬉しいことも、哀しいことも、
語るべき事柄は、山のようにある。
どうやって生きてきたのか。

いずれ、死はやってくる。
誰のもとへもやってくるのだ。
ならば、生きている間こそ、人生。
限りある、時間だけ。

近藤勇が去ってゆく。
残された者たちは自分に問うていた。
どうやって、生きるのか。
どうやって、生きるのか。
その問いが、生き方を決めるのだ。

『これから京へ出発する試衛館の八人。
さて、何が待ち受けているのやら』

何が待ち受けていようとも。
物語は生きている間にこそある。
全て、そこに。

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