●●●ベティ・サイズモア

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2005.06.18

(8)

テーマ：レンタル映画(818)

カテゴリ：アメリカ映画

一人の人間の頭の中。

その頭の中の世界が、
現実の”そのもの”であるとは限らない。

自分だけは認識してる。
自分は、自分だ、マチガイない、ココにいる。
でも、他はあやふや。
ベティ・サイズモア、彼女は、
カンザス州の田舎町でウェイトレスをしていた。

だが、夫を二人の殺し屋に殺された現場をみて、
現実を拒否してしまった。
頭の中の世界に「自分」を引越し、
彼女の大好きな、昼メロドラマ、
「愛のすべて」の中の看護婦になってしまった。
6年前に別れた主役のデヴィットに会うため
新車の車に乗って、ハリウッドを目指す。
その車に麻薬が積まれていて、
夫を殺した殺し屋が、
彼女を追いかけてることも知らずに。

頭の中の世界では、

免許もないのに、病院で採用試験まで受ける。
採用はなかったが、トラブルに巻き込まれ、
瀕死の少年の応急手当をしたりする。
全て、ドラマで得た知識であるが、
そのきっかけで、病院に職を得るベティ。

力強く現実を自分の方へ引き寄せる。
彼女が描く、頭の中の世界へ。

二人組の殺し屋は、ベティを狙う。
老いた方の殺し屋は、
ベティを最後の標的と決めていたから、
生涯最後の仕事ということで、彼の頭の中で、
ベティ・サイズモアは現実と遊離する。

現実を自分の方へ引き寄せるベティ・サイズモア。
この世界は、彼女が主人公。

デヴィット役の俳優、ジョージが、
ベティに興味を持ったことから、ついには、
「愛のすべて」に出演が決まってしまう。
彼女の頭の中は現実を取り込んだ。
ただ、その現実は、架空の世界、
彼女は、病院のセット、スタッフに戸惑う。

レニー・ゼルウィガーのはまり役。
現実など見向きもせずに、ドラマの世界に生きている。
クリス・ロック、グレッグ・ギニアという、
癖のある俳優が、異彩を放つ。
残虐な殺しのシーンに、可愛いレニー、
可笑しくもあるのに、
ヒロインは現実逃避、悲劇なのだ。
アンバランスな中、ひときわアンバランスな
モーガン・フリーマンの殺し屋。
彼は、ベティに親近感を抱いている。
妄想の中で、彼女にティアラをつけさせコスプレ。
だが、最後の最後にベティを解き放つのも彼なのだ。

自分が思い描いた世界の方へ、
誰の力も借りず、現実を近づけたベティ・サイズモア
ずっとそんな彼女を殺し屋は見てきた。

人は思い描いたものに近づける。
そして、人は思い描くのである。
しかし、ベティ・サイズモア、
彼女の行動は、かなり、ぶっ飛んでいた。
そのくらい、キレないと
何事も実現しないのかも知れない。

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