Q ファンヴォールトとは?
A 垂直式イギリスゴシックに見られる、リブを網目の扇状としたヴォールトです。
装飾式のリブを、さらに網目の扇状にしたのが
ファンヴォールト
(
扇状ボールト
)です。他に扇の形ではない
網目ヴォールト
もあります。この頃のイギリスゴシックは、
柱やマリオン(方立:ほうだて 窓に入れられた垂直部材)などの垂直線が下から上まで長く伸び、垂直線が強調される
ので、
垂直式
(
第 3
尖頭式
)と呼ばれます。下図のキングズ・カレッジ礼拝堂は、垂直式の代表例です。
・ファンヴォールトに 垂れ飾り ( ペンダント )を追加したウェストミンスター修道院のヘンリー 7 世礼拝堂( 1503 ~ 12 )は、構造的な意味を離れ、精緻な石造の装飾となっています。構造合理主義ではなく、構造装飾主義による美の追求といえます。
・【 王様 は 扇 であおられる 】
キングズ・カレッジ ファンヴォールト
Q イギリスゴシックを大きく 3 段階に分けると?
A 13 世紀の初期イギリス式、 14 世紀の装飾式、 15 世紀の垂直式です。
フランスから入ったゴシックは、約 1 世紀遅れて 初期イギリス式(第 1 尖頭式) 、 装飾式(第 2 尖頭式) 、 垂直式(第 3 尖頭式) と進みます。 4 分ヴォールトから始まり、シュロ状ヴォールトなどの装飾的ヴォールトになり、さらに装飾が細かくなり網状、扇状のヴォールトとなります。

・イギリスではゴシックが他国と異なって長く続き、 19 世紀にもゴシックリバイバルが起こり、ついには国会議事堂までゴシックで建ててしまいます。垂直式の時代は、イタリアではルネサンスが花開く時期です。イギリスのゴシックは湿気の多い風土とも相まって、幽霊屋敷や魔法使いの舞台になるような、不気味さ、おどろおどろしさ、風変りさがあり、洗練されたフランスのゴシックとは異なる魅力に満ちています。
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征野三朗さんComments