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May 12, 2005

わかる瞬間はいつも怖い。心臓が止まりそうになる。

(2)

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24670)

カテゴリ：恋話

｢らせん」　～吉本ばなな｢とかげ｣

｢これまでにわかってしまってうまくいくことなんて、ひとつもなかったからだと思う｣

私は一度だけ、ものすごく怖い思いをしたことがある。
別にたいした事のない一件だったが、ひどく動揺を誘うものだった。

その日に限って、バイト帰りの彼からの連絡がない。
いつもの時間をだいぶ過ぎても電話がないものだから、
とても心配になって、心が落ち着かなくなって、
メールしたり電話したりしたのだけれど、つながらない。

彼に何かがあったら、この体は壊れてしまうだろう。
まともに生きていけるとは到底思えない。
初めて知ってしまった｢失って怖い｣という気持ち。

結局いつもより１時間ほど後に、
｢話が盛り上がってたから｣と何事もなかったかのように連絡があった。
たった１時間のことだったけれど、あんなにつらい１時間はなかった。

その時、私は泣きそうだったのだが、彼はそんなことに気付きもせず。

思えばその時が｢別れ｣を意識した瞬間だった。
何かがずれてきている、そう感じた瞬間だった。
悲しいことにその勘は当たってしまったね。

でも、何かの事故で彼を失ってしまうことに比べれば、

吉本ばななさんはこう続ける。
｢わかるってすばらしいことよ｣

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