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2022.03.26
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カテゴリ: 国内ニュース
​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​Milkywayです。お元気ですか?
                               20220326
 今月23日、日本では初めてという国会での国家元首によるオンライン演説があった。ロシアによる武力侵略に対して、ほぼ1ヶ月戦い続けているゼレンスキー大統領を迎えての演説だから、唯一無二といえる機会。私は中継を観、録画を再度観て、そして文字起こしの全文も読み、ゼレンスキー大統領の日本への理解と配慮が行き届いた演説だったと思った。大統領や彼の側近、スピーチライターたちは、日本人が論理的な議論は不得意だが、情緒性には優れ、心情には深い理解を示し、共感性が高いことを充分知っていたのだと思う。
 この演説に関して私の思ったことを記す。

【日本への理解と要請】
 大統領の演説が日本側に打診されてから、ある人々が懸念していた過激な発言など全くなかった。むしろ拍子抜けするほどの穏やかな内容だった。今までEU議会、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、アメリカ議会などで見せた、ロシアへの制裁不足とか、ウクライナにとってはどうしても必要な援助を決断してくれない苛立ちなどを言うことはなかった。日本に対しては、平和憲法を持っている故に軍事援助ができないことを理解し、ロシアへの経済制裁にさらに力を注いでくれるように要請した。
 大統領は、アジアで率先してウクライナへの支援をした日本国民にお礼を言い、平和と自由を享受している国としての日本を、再認識させた。そして、ウクライナと今もっとも共有できる懸念として、チェルノブイリ原発の危機と、生物化学兵器サリンに言及した。そして、日本人と共有できる故郷に帰りたいという想い、戦争による不安や恐怖など普遍的心情を「津波」という言葉を使って伝えたのである。

​【大統領が日本に期待していること】​
 ゼレンスキー大統領は、日本の平和憲法上、日本からの軍事力支援は期待していない。それが無理であることを承知しているのだ。ゼレンスキー大統領が日本に要請したことは、大きく分けて三つ。一つは現時点でのロシアへの官民両面からのさらなる経済制裁とその継続。もう一つは、ウクライナの戦後復興時への支援。三つ目が、国際平和を守るための「新しいツール」創設へのリーダーシップだ。下記に詳細を述べる。

​​​【ウクライナへの復興支援】​​​
 戦後の復興を驚異的な短時間で成し遂げた日本人への尊敬を、ゼレンスキー大統領は口にした。日本は世界からそのように目されてきたのである。実際、日本の科学力・工業力をはじめ、建築・医療・教育分野で、ウクライナの復興を助ける能力はものすごく大きい。アジアトップと目されてきた医学・医療分野での高い能力が日本にはあるし、原発の廃炉に尽力してきた原発分野での力もある。アジアの国々や発展途上国から羨ましがられた高い教育力もある。国の復興の時には不可欠な、多くの分野での支援能力が日本にはあるのだ。そして、そうした支援を支える結束力や調和を生み出す精神への期待が、ゼレンスキー大統領の言葉にはあった。
 日本の精神性への共感については、日本の昔話を使って視覚障害の子どもたちのためのオーディオ・ブックの制作に尽力した自分の妻の例に言及して、障害者への支援と教育を通じて、日本人の心をウクライナの若い世代と共有しようとしたことにも表れている。彼の言葉の端々から、日本の文化と精神性に対するリスペクトを私は強く感じた。彼は「日本とウクライナは価値観を同じにしている」とも言ったのである。

​【平和への貢献は武器だけではない】​
 私は今回のゼレンスキー大統領の演説から、日本の文化力が日本の武器であることを改めて認識した。かつて、いくつかの東南アジアの国々や中東と東欧の国々の大使や大使館員たちとお話をする機会に恵まれた時、私は常に、彼らの日本の文化に対する尊敬に驚かされた。
 日本人である我々は気付いていないのだが、歴史と伝統の中で培われた日本人の精神性や心情には、彼らから見れば、独特の尊敬すべきものがあるようだ。ウクライナも「キエフ公国」が母体になった長い歴史を誇る国だ。共有するものが多くあるに違いない。日本が、ウクライナに協力できることは武力ではなく、文化や科学分野を中心としたソフト面だと私は確信している。

​​【国際平和への日本の貢献】​​
 ゼレンスキー大統領は、「U24」という国際的連合体を創設する提案をしている。平和を維持するためのこの国際協定がどういうものであるかは、米連邦議会での彼の演説の中で語っている(本ブログの前回で全文訳を掲載)が、この連合組織への日本のリーダーシップをゼレンスキー大統領は要請したのである。
 今回のプーチンの蛮行に対しては、国連は無力だった。NATOも様々な制約から機能不十分である。一方、国連の常任理事国入りを願いながらできないままの日本がいる。その立場にある日本は、新しい国際組織なら、世界で唯一の被爆国として、強い発言力を持てるだろう。そうやって国際貢献ができる。武器による平和維持は、もはや幻想だったことが今回のロシアの侵略行為で分かった。核のボタンをもっているプーチンのやりたい放題という現実を、世界は突きつけられたのである。加えて、この核の危機のさなかに、北朝鮮によるミサイル発射事件も次々と起きた。人類は、核を持てば持つほど死に近づいていくことが分かったのである。核の使用をちらつかせて自分の思い通りにことを進めようとする指導者の組織に頼ることは、どれだけ危険なことか、我々は思い知った。もうこうした方法論には身限りをつけ、新しい国際秩序構築へ動いたほうが良い。こんどこそ、平和憲法を持ち、核の被害国である日本に、力を発揮してもらいたい。

​【日本の政府閣僚とイタリアとの比較】​
 日本政府への大きな期待を、私は上述した。だが、ここで、日本の国会演説の前日に、同じくゼレンスキー大統領のオンライン演説を開催したイタリアと比べ、日本政府と大臣達に耳の痛いことも付け加えておきたい。
 3月22日、それは開催された。イタリアはご存知のように、第二次大戦では、ドイツ・日本と組み、連合国の敵となった国である。欧米からすれば日本と同列の国だ。そのイタリアは、ゼレンスキー大統領からの強い要請をうけた後、ドラギ首相が「ウクライナの人々の威厳はロシアのごう慢さに立ち向かい、ロシアに多大な犠牲を払わせている」と述べ、ロシアに対する制裁の強化に向けて、EU=ヨーロッパ連合などと緊密に連携すると述べた。
 一方、日本の山東昭子参院議長は「貴国の人々が命をも顧みず、祖国のために戦っている姿を拝見して、その勇気に感動しております」と戦闘を称え、「わが国とウクライナは常に心は一つにある」と精神論で締め括った。ゼレンスキー大統領の演説に具体的に触れるところは無く、まさしく前もって用意して暗記した挨拶を言っただけ、という様子で、大統領のメッセージを受け止め切れていないというのが、分かってしまう内容だった。
 さらに、ゼレンスキー大統領の演説を聞いていた日本の議員たちの姿も情けないものだった。特に、林芳正外相の大あくびも、ここで記録しておく。林外務大臣は、演説前にはまるでコンサートか何かの開幕を待つときのように、隣席の岸田文雄首相とニタニタ笑って私語。演説中にも同じように私語。この様子は、NHKの中継画面に映っていただけでなく多くのメディアが取り上げた。写真の一枚を載せておく。我が国の政府閣僚の姿はまことに情けない。



 さて、もう一度、イタリア閣僚に戻る。
ダリオ・フランチェスキーニ元文化大臣は、3月18日、ツイッター上でロシア軍によって破壊された伝統あるマリウポリの劇場の再建援助をすると表明した。https://twitter.com/dariofrance/status/1504499779136544775
文化大臣を退任した後でも、これほどのコミットメントをするのである。
人間としての幅も政治家としての実力の差も知れる。
日本の政治家たちよ、奮起を!
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最終更新日  2022.03.26 13:35:52
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