楽しい南の島

実録ガルーダインドネシア航空機

『実録、ガルーダインドネシア航空機』
いよいよ出発!
神様の名が冠せられたガルーダインドネシア航空
神様がいつでも一緒だから墜落したりしない。筈。

「え~と、31のBは…。」
座席を探して機内を進む。

あったあった!
豚吉の隣。これは楽しいかも?

「よいしょ!」
上の棚に荷物を乗せる。
これがチビの私には大仕事。

座ろうとして前の座席の背をつかんだ。
??????????
「え? なんだ?」

グニャ。背もたれが逆リクライニングした。
なんと前に倒れちゃった! 一緒に私も倒れこむ。
人が座っていたら確実に押しつぶすところだった。

かなり焦る!
「万が一事故ったら前の座席の人、絶対に死んじゃうよね。」
豚吉と私は素早く自分のシートを点検した。
大丈夫みたい。
ホッとしながらも、前の席に人が座るかどうかが
俄然気になる。

はたして乗務員はこのことを知っているのか?
こんな椅子に乗客を座らせるのか?

周囲の座席は埋まっていく。
やがて1人のおじさんがやってきて前の席に。
「ひえええ!やっぱり座っちゃったよぉ。」
「おじさんに教えた方がいいよ。」

豚吉と私は小声で叫びあう。
声はちいさくても、必死。魂の叫び?

「あの~…。」
勇気を振り絞り話しかける。
「?」
訝しげな視線。そりゃそうよね。
若い女とは言え、見ず知らずの変な2人連れに突然声を掛けられちゃ。

「この背もたれ、こうなっちゃうんですけど。」
実演。グニャ!
挟まれるおじさん。

「……………!」
おじさんは青ざめている。
「あ、あ、ありがとう。」

突如立ちあがり、FAの所に急いで行ってしまった。
その後、彼は帰って来なかった。

「空席あって良かったね。」
とは思ったんだけど、何となく恐い。
大丈夫かな? この飛行機。

離陸!
何だか操縦が乱暴なんだけど~~~!!!!!
タップリの不安と共に旅は始まった。

ああ、やはりこうなるのね

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