一生やってろ!!

一生やってろ!!

もう一度逢いたい。5



 私は初めて不機嫌な彼をみた。

 どんなにいやなことがあったとしても、私の家ではいつも笑っていたし

 私の作る料理も・・たとえ失敗したものでも「美味しい」といって食べて

 くれたのに。

 我が家に着く早々、不機嫌極まりない顔で入ってきた。

 そして無言のまま座り、TVをじっと見ていた。

 話し掛けても返事すらない。

 夕飯の仕度が遅れそうだったので、「秋刀魚」を焼いてすませようとした。

 夕飯を出すと気にいらなそうな顔をしている。

 さすがの私もキレる。「何が気に入らないの?ここに来るのがいやなら

 来なきゃいいでしょ。」と。

 でも彼は何も言わない。どうして?そしてその日は早々に帰っていった。

 そして・・その日以来、二度と会えない人となった。事故で彼はもう

 二度と会えないところへ逝ってしまった。

 どうしてやさしく聞いてあげなかったんだろう。

 もしかして彼は別れを告げにきたのだろうか?それなのに、言えずに

 そして本当にもう二度と会えないところへ逝ってしまったのだろうか?

 いつもそばにいてくれた、私にとって必要な人を失ってから

 私は自分をも失った。

 仕事はきちんとしなければと毅然とした態度で振舞っていたものの

 家に帰れば、一人ぼっち。2人でいた時は少し狭く感じた部屋が広く感じる。

 何もする気になれず、2人の好きだったバーボンをただただ飲んでいる。

 挙句の果てには、泣き喚き、そして息ができなくなって眠りにつく。

 どのくらい続いただろう。

 もう身体も精神もボロボロになっていた。

 ひとりぼっちのクリスマス・・ひとりぼっちの年末。

 「もう少ししたら結婚しようね。待っててね。」

 そう言ってくれたあなたは、もういない。ずっとずっと待っていたのに。



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