Blue kiss

Blue kiss

あまりにもバカな話

あまりにもバカな話


本当に残念!
最高の見せ場に立ち会えなかった。

Saaはこの出来事を
「『人生抱腹絶倒記事』ベスト3にいれる!!」といった。

くっそーっ!!
面白かったんだろうなー!!!


*******


9日の朝
早朝に帰ってきたわたし。
はい。外泊しました。

せっせとSaaのお弁当を作り
朝食の支度をしていると
そのうちSaaが起きた。


「ママ、昨日おねえちゃん面白かったんだよ。」
「何が?」
「話すと長くなるからまた言うよ。」

Saaは「うひひひひ・・・」と
一人笑いしながら学校へ行ってしまった。

まもなくRiiが起きた。
「ねえ、Saaが昨日、あんたが面白かったって言ってたよ。」
「あぁ~~~」
Riiは口が裂けるほど口角を左右に広げて
「くくっ・・」と笑った。


こいつらがこんなに可笑しがるなんて
よっぽどのおもしろい場面があったに違いない。
「どうしたの?」
「あ~のねぇ。あれはSaaにやられたんだよ。あたしが。」
Riiは台所で「貧乏ジュース」をコップに注ぎながら
「あの現場にいたらママ、面白すぎて死んでたかもしれないよ。ははは・・・」


早く、話して。

********


それはそもそも、昨日の晩に
わたしが買ってきた
コンビニ弁当がきっかけだったらしい。

一旦帰宅して、また出る予定の出来たわたしは
Saaと自分の夕食に
コンビニで
「おにぎり弁当」と「ちらし寿司弁当」を買った。

「ごめんね!これで今日は勘弁!!」
わたしは台所で「おにぎり弁当」を立ち食い。
半分残してテーブルに置いた。

Saaはちらし寿司を「なかなか旨い」といって食べたが
半分残して「あとは9時に食べる。」だって。
なんで9時なの。

まあ、いい。
わたしは急いでいるのだ。
「おにぎり弁当」はそのままに外出した。

多分Riiがバイトから帰宅すれば
残りを食べるんだろうと予測してた。


*****

「でね、あたしが帰ったとき、このおにぎり弁当の残りを
食べようとしたら、Saaが『おにぎりわたしも食べたい』
って言っておにぎり掴んだから・・・


「あんた、このおにぎり食べたら
そっちのちらし鮨半分なくなると思いなよ。」

「え~っそんなぁ、やだよ~」

「じゃあ、食うな。」

「おねえちゃん、ずるいよ~」

Saaがおにぎりを離してテーブルに置いた。
指にご飯粒が2粒ついたのをSaaが口で拾って食べた。

「あっ、Saaその飯粒食べたね。
これでおまえのちらし鮨は3分の1無くなったよ。」

「え~これ、食べたことになるの~!」
Riiは容赦なく、Saaのちらし鮨を箸でガッと掴み食べた。

「おねえちゃん、そっちの『カツ』食べたい。」
「ダメ。」
「今、わたしのちらし鮨食べちゃったじゃない。」
「まあ、いいか。」

Riiはそういいながらもスキを見て
その『カツ』も自分が食べようと思った。「ねえ、Saa、今日洗濯物、とり込んだっけ?」
Saaは思わずベランダのほうを振り返る。

今だ。
RiiはSaaを見ながら
自分の箸を『カツ』の残る「おにぎり弁当」の
プラスチックパックの中に1秒の速さで運んだ。

コツン。

「あっ?」

コツンって。
RiiとSaaの目が合う。
あるはずの「おにぎり弁当」の箱がそこになかった。
見るとSaaの右手にそれは乗っている。


コツンは、一瞬で姿を消した弁当箱の下のテーブルを
叩いたRiiの箸の音。

SaaはRiiの行動を予知して
Riiに声をかけられた瞬間に
ほとんど無意識に弁当箱を手にとりあげていた。

「うそっ。」RiiがSaaを見る
Saaはなにが起きたかが解ると
その場で部屋が揺れるほど笑い始めた。

「うほほほほ・・・・・・!!!!!!」Riiは作戦をSaaに完全に読まれて完敗。
その場に倒れこんで

笑い続けた。


****

「それでさ、そのあとSaaなんて
『おねえちゃん、この『カツ』食べていいよ。』って言うんだよ。

「いらねえよ。」
Riiはこうして自虐的に笑ってことの成り行きを
再現してくれた。

わたしは、その時点でもう声も出ないほどになっていた。

「・・・・ははははは・・・・・・はは・・・」


「ね、わたしらばか姉妹だよね。ほ~んと
Saa.あいついつの間にか成長してたよ。あんな反撃食らうとはね。」

Riiは「かかか・・・・」とまた
大きな口を開けて笑った。

はぁぁああ・・・・
あんたたちって。

Saaはその騒動のあと、
Riiににっこり笑って
「おねぇちゃん、甘い。」ってとどめ刺したらしい。

恐るべし妹。


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