ミサママ本舗 * 日本を経て今はバージニアです♪

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その後

その後





主人のかかってしまった風土病は、
3ヶ月毎のレーザー治療に効果がない場合、

ただひたすら失明するのを待つのみという、
とても恐ろしい病気。

幸い発病したのは左眼だけで、
それだけが唯一の救いでした。

しかし前回の手術で、右眼にも黒い影が発見され、
先生曰く、その黒い影が何かはまだ解らない。
右眼発病のきざしかもしれないとの事。

突然の話に、不覚にも診察室で泣いてしまいました。
左眼だけでも日常生活に多少なりの影響があるというのに、
右眼まで発病してしまったら・・・

大好きな車の運転も無理だろう。
今の仕事も失うことになるだろう。

そして何よりも、今までと違う生活を強いられることになる
主人のことを思うと、悲しくて涙が止まりませんでした。

その時の診察では、
不幸中の幸いというか、発病している左眼の方は、
出血が治まってきているようとの先生の言葉。

いつもは3ヶ月に一度の割合で治療を受けている主人、
でもこの時は右眼のこともあるので、
次回の診察は6週間後となりました。

『右眼に異常を感じたら、すぐに病院に来るように。
予約を取る必要はないからね』との、先生の言葉。

異常を感じたら、一刻の余裕もないのは、
私達もよく理解している。
ただ今は、そういうことが起こらないことを祈るのみ。

とても不安な6週間を過ごしました。
主人は今までと同じように、
一日に何回も眼の異常をチェック。

何も出来ない私は、『眼の調子はどう? 異常ない?』
と、声をかけるのみ。

とてもはがゆい。
この病気を予防することは出来ない。

だから発病したら早く気付いて、一日でも早く手術を受ける。
これしか方法がない。

そして長い6週間が過ぎました。
『未だに異常は感じないから大丈夫』と話す主人と、
300㎞離れたいつもの病院へ。

視力を測り、レントゲンを撮った後診察室へ。
『奥様も一緒に・・・』という
先生の言葉に促され診察室に入ると、

『Outstanding!』

(意味としては、見事! という感じかな。
 他には、ずば抜けた、優れた、卓越した、 抜群の、
 際立った、ピカ一な・・・ という意味があります)

と、先生の第一声。

『左眼の出血がほぼ完全に止まっています。
それにともない視力も驚くほど回復しています。

こんなに回復する人はまれですよ。
心配していた右眼も、まだ黒い影はあるけど、
今のところ発病のきざしはないようね』

という先生の言葉。
本当に、ほっとしました。

視力の回復と言っても、眼鏡をかけた状態で、
《0. 01》から《0.1》になった程度。

その上、視界の中心を遮るモザイクが消えたわけでもない。
それでも、これはすごいことらしい。

『Outstanding!』と、連呼して、
病状の経過がいかに良いかを
まくしたてるように早口で話す先生。

前回の診察で、私が泣いてしまったのを
気にしていてくれたのかも知れない。

うん、きっとそうだ。
主人も同じように感じたよう。
良い先生だな。

初めはちょっとドライな印象を持っていたんだけど、
本当はすごく心優しい先生だったのね。

左眼の出血がやっと止まって、
右眼の黒い影も発病のきざしではないようだし、
本当に、本当に、すごく嬉しい。

今度は思わず嬉し泣きしてしまうところだった。(苦笑)

他のページにも書いた通り、
左眼の視界の中心にあるモザイク、
出血が止まったからと言って消えるものではありません。
今でも視界の40%を遮り、もちろん小さくもなりません。

例えば日本の国旗・日の丸が目の前にあるとしましょう。
それを左眼だけで見ると、それが日の丸なのか、
ただの白い布なのか、彼にはわからないのです。

丁度日の丸の中心の赤い部分が、
出血によって作られたモザイクで遮られるからです。

これは一生治らない。
でも良いのです。
出血が止まっただけで。
これ以上酷くならないだけでも感謝です。

もちろん再発の可能性はあります。
これもまた防ぎようがないので、
どうすることも出来ませんが・・・
今は病状が悪化しないことにひたすら感謝です。


2002年12月



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