misty247

misty247

2006.05.06
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 一月前の鈴鹿山脈にあった残雪は私を驚かせた。麓から見上げて谷筋を白く浮かばせていたのはいかにも雪に見えたが、すでに桜の時節、まさかと思い石灰質の岩肌が露出しているのだろうと決めつけた。登ると白いものの正体が知れた。それは根雪を材に彫り上げた自然の彫刻、氷の珊瑚樹だった。
 大阪市内で幻影のように舞った春雪、あれは三月末つ方。雨量の多い鈴鹿山脈の雪の厚さが、三月の陽で削り尽くせなかったとて不思議ではない。氷の巨大な水溜りをいくつか通り過ぎて標高を上げた山頂付近には登山路一面を覆う雪があった。そこだけ見ると明らかにアイゼンが要るような難路だ。勿論アイゼンなど持ってきていない。
 しかし、私はたじろぐどころか意気揚々。偶然ではあるが、この山登りの直前にトレッキング用の靴を買い換えたばかりで、今度のNEWシューズにはちょっとした仕掛けがあったのだ。それは靴の裏、踵の部分に鉄のプレートがついていて、それをクリップの抓みのようにパタンと引き倒すと爪が表になって簡易アイゼンになるというものだった。爪の高さは1cmにも満たないので本格的な雪道には用をなさないが、今回のような部分的な雪、金剛山の階段の雪、よく踏まれた平地の雪には、重心のかけ方が垂直になるように心掛けさえすれば、これで十分に足りるのだ。と、断言するのはまだ早い。という仮説を、売り場でこの靴を見て思いついて、それを実証する段に私はあった。
 実証の場はおそらく冬の金剛山、当分先だなと思っていたが、その機会がこんなに早く訪れるとは。雪を前に金具を起こす。簡易アイゼン、レディ。山の意外性を教えんとしてくれた御在所岳には申し訳ないが、鶏を割くにぴったりの鶏刀を持っていた私。ザックザックと雪を踏みしめて、そこを確かな足取りで歩き抜けた。

 ☆ ☆ ☆

 金剛山は一番多く登った山だ。少なくとも30回は登っている。もっともこの回数では何の自慢にもならないのが鍛錬登山で名を馳せた山である金剛山。ちらっと聞いた話では全国で富士山に次いで年間登山者数の多い山だとか。それを聞いて富士山の踏まれように驚いた私。
 金剛山の魅力はやはり冬にある。積雪シーズンとなると、素人装備の私には雪山は迂闊に踏み込めない場所になる。その時期にありがたいのが金剛山。アイゼンさえ用意していけば、道は確かだしよく踏まれてもいるので必ず山頂まで行ける。ここ数年、正月の前後に一度は行くようになった。いつも初詣の気分で登山する。
 今年は1月8日に金剛山へ登った。
 木の枝が雪に覆われ、真っ白になる。空も地も樹も草も、吐く息も凍える手も何もかも白一色の世界。この時期があるから、錦の紅葉が見送られ、新緑の五月が迎えられる。

雪の金剛山1


 山頂の境内一帯が一面の雪景色になるのは毎年のことだが、鈴鹿の残雪が示すように今年の雪は多かった。千早城分岐地点でのアイゼン装着は始めて。
 年明けて二週目の山頂にはまだ初詣の余韻があった。神社の手前では火が焚かれ木が焼べられていた。昇る煙が降る雪とすれ違い共に宙に消えていく。
 山頂には例年通り雪山が作られていた。今年は大型で、人がすっぽり納まるほどのかまくらになっていた。この雪がいつまで残るか、それを見届けるのが登山者の楽しみの一つにもなっていると思われる。

雪の金剛山2
△ 山頂の雪山の前で





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.05.07 01:27:08
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: