misty247

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2006.11.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 危険な地に臨んで無事戻ってくることも山歩きの楽しみです。しかし山の危険は様々です。「予期できなかった」危険が取り返しのつかない事態に発展するであろうことは想像に難くありません。予期できるようスキルアップしておきたいものですが、体験したときは手遅れかもしれませんから、こういうことは本で学ぶのが良さそうです。
 いい本はないかなと探していると、見つけました!

『山でピンチになったら』―― 上村信太郎著

 ハウツーを説くというより失敗談をあげるところに重点が置かれていて、とても読みやすい本です。簡単に「ピンチ」の種類と心得をご紹介いたしましょう。


・転落
冬の八ヶ岳で100m転落して絶壁の寸前で止まった筆者の体験が語られています。二宮金次郎の真似はせず、常に足元注意とのことです。

・道に迷う
新聞でも報じられた捜索事故、中央アルプス空木岳(S48)、妙高山(S58)の2件を紹介しています。共に遭難時から2週間近く山中を彷徨った後の生還です。北アルプス朝日岳で35日ぶりに自力で下山した人もいるとか。生き抜くぞという意欲が大切とのことです。

・怪我で動けない
西丹沢(S54)、大峰山系弥山(H7)、共に八日後に救出された人の話。なんとかして居場所を伝えることが大事。


筆者の明星山登攀時の最悪のビバークが語られています。快適なビバークのコツは、明るいうちに場所を選ぶこと。

・氷が割れて溺れる
筆者の登山クラブ仲間の事故が語られています。億劫がらずにピッケルだけは常に携帯せよとのこと。

・雪庇を踏み抜く
槍ヶ岳で700m滑落した事故を紹介。雪庇の危険は防ぐのが難しく、先頭に立たないのも一策だとか。

・リングワンデリング
知らず同じ所をグルグル回っている状態をいいます。ギアナ高地のロライマ山縦走時の筆者の経験が語られています。行く先にごく最近の踏跡があるぞ、とよく見れば自分の靴底に一致して背筋が寒くなったとのこと。

・進むことも戻ることもできない
乗り越えようと取り付いた堰堤の途中で身動きとれなくなり、疲労の果てに墜落寸前となった筆者の表丹沢での水無川遡行体験が語られています。堰堤は登らないこと。

・コースの間違い
甲斐駒ヶ岳で下る尾根コースを間違えた筆者の経験、奥秩父でコースどころか登る山を間違えたこれも筆者の経験が語られています。


谷川岳一ノ倉沢を冬の夜に下降中のとき、カナダの氷河で仲間とはぐれたときの幻覚体験が書かれています。

・カミナリ
西穂高で高校生11人が死亡(S48)。カミナリに撃たれても心肺蘇生で助かる場合もあるそうです。

・強風
冬の富士山では中に人をいれたままのテントが吹っ飛ぶそうです。


富士山で岩ナダレ、死者12人(S55)。
落石に気付いたら「落石!」または「ラク!」と大声で他人に知らせます。
落石が向かってきたら視線をはずさないこと。逃げる余裕がないときはザックで頭部を守ります。

・吹雪
谷川岳で宙吊りの死亡者が報じられた日(S51)は、季節はずれの吹雪で当日の死者計4名だったそうです。同日一ノ倉沢にいた筆者の体験談が書かれています。

・高山病
富士山頂で大学生2名死亡(S51)。症状は頭痛や吐き気に始まり、症状が進むと眼底出血症状で視力喪失、肺水腫、脳浮腫で死亡に至ります。無理や我慢は禁物。

・野犬
走って逃げるのは一番危険で、背を見せず視線をそらさないで棒切れを持ち威嚇しつつ徐々に離れる、のだそうです。

・クマ
鈴やラジオなどで会わないようにする。会ったときは持っているものを置き、注意をそらしながら後ずさりで退却。子連れのクマが恐ろしいそうです。

・イノシシ
イノシシは基本的に人を襲いませんが、逃げ道に立ってしまうと突っ込まれることもあるそうです。


以下は、紹介しきれなかったピンチのタイトルです。


・渡渉、・沢に落ちる、・登山靴が壊れる、・シュルントに堕ちる、・お酒の飲みすぎ、・ハンターの銃、・台風接近、・ホワイトアウト、・橋の流出、・登山道凍結、・鉄砲水、・大粒のヒョウ、・ナダレ、・大地震、・テントの火事・浸水、・山火事、・荒天で非難小屋に缶詰、・非難小屋が満員、・盗難、・メガネの破損、・ザック中でガソリン漏れ、・トイレがない、・山で忘れ物、・雨具がない、・食料がない、・燃料切れ、・ザックを落とした、・飲み水がない、・日射病、・風邪が悪化、・下痢、・食中毒、・酸欠、クモ膜下出血、・吐血、・花粉症、・シカ、サル、マムシ、カラス、スズメバチ、ヒル、ダニ、ツツガムシ……


 筆者の経験豊富なことには読み進めるほどに驚かされます。世界の岩山、雪山を相手にしての一流の登山歴ですが、一方、山での失敗にレベルは関係ないとも思われました。世界レベルには遠い自分でも、こんなことなら未然に防げるぞと思うような失敗談も多く、そこに感じられる親近感がとても魅力的でした。





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Last updated  2006.11.19 19:37:43
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