翻訳学者犬徒然草

何が必要か?

家主はセールのことが気になるらしく、この近くの町じゃたいしたものもなく、次に何時パリに行くことになっているのかとカレンダーをしきりに 眺めている。小生などはすべて身の回りのものは整っており、住居はここの家主が大喜びで、老母と1階すべての占拠を許可しているので、あとはアトピーにな らないような食事さえ用意してくれれば言うことなしなのだが。居候が初めて来た時は家主は居候のバーバリーのベルトと、コートを見て、「こんなもん、何処 に売っとんねん。ハイカラな犬やな」と時代遅れの言葉で、小生らへのとまどいを隠していた。しかし、すぐに居候の家主が帰ると、すぐにベルトやコートなど はすべて剥ぎ取り、台所裏のダンボール箱にほりこんで、「なかなか、面白そうな顔つきやな」。これで居候も必要なものは小生たちと同じになり、共同生活が 始められるというもの。家主は自分の必要なものがよく分かっておらず、物を買う前にどうも「買えるか、買えないか」としか考えず、「必要か、必要でない か」は一切頭の中に無いらしい。自分の買ったものを忘れて、特にパソコンの付属品などは同じものを何回も買うという、記憶喪失あるいはアルザイマーにか かったのではないかと心配させることも時々。相方に見つかると都合の悪いものはすべて、仕事部屋の物置に詰め込んでおり、「あの箱一杯のコード類使わない なら捨てたら?」と言われ、「いや、またいつ必要となるかわからんから」と思いがけない所の「必要論」で逃げるのだが、老母の2回の手術には率先して、 センターに連れて行ってくれ、後で「パソコンが2台は買えたな」とすっかり「満足げ?」の家主。

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