”名も知れぬ人たちへ”【承19】

・・・妻は,この病院で戦うんだなぁー,と・・・

車イスに乗って,まずは産婦人科へ。しかし,付属病院は広い,しかも継ぎ接ぎ(新旧入り乱れ)だからなおさらわからない。
とにかく,正門の方(受付)に向かった。
この付属病院の駐車場が更新するらしくて仮の駐車場からだと受付が遠い。

受付に到着し,産婦人科が何処にあるのか探した。二階にあった。
エレベータでいくがこれまた古い。ボタンが丸く飛び出ているやつ。
ようやく,産婦人科に到着。市立病院からの紹介状と検査写真を産婦人科受付の看護婦さんに手渡す。
「はい,聞いてますよ,入院手続きは後でゆっくりしていただきます。入院病棟に案内します。」
と言って,看護婦の後をついていった。

一端1階に降りて,100mくらい歩いて,入院病棟のエレベータで4階まで上がる。
そこが産婦人科病棟,向かって右側がだいたい産科で左側が婦人科であった。

妻の部屋に案内された。4人部屋ですでに3人が入院していた。
「どうも,これからお世話になります。」
みんな頭を下げてうなずいてくれた。みんな同じ病気であった。

なんとなく,寂しさがこみ上げてくる。
昔,娘をお産したときは右側だったのに,みんな希望にあふれている顔をしていたのに。
左側にいる人たちはみんな,顔が青白く,やせていた。言葉も少なげだった。
妻もこの人たちと同じようになるのかな,と思い寂しさが・・・

・・・でも妻は・・・

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