「フラテリ一家」 グーニーズが昨今ありがちな、分類上ホラーじゃないくせに血みどろの惨劇映画、というふうにならない要因は、フラテリ一家にある。拳銃を撃ったり人を殺したりしても物語の焦点が残酷描写に移ってしまわないのは、スロースに代表される、フラテリ一家の素朴な感情を失わない人間的な面に支えられている。例えば終盤の、スロースに縛り上げられた兄二人を母親が助ける場面。「ゆっくり下ろせ」と言われてるのに母親は縄を剣で断ち切り、落下する二人を見て「OH MY GOD!」と叫んだり、落下した二人は無事を確認し合ったうえで兄弟喧嘩を再開するといった様子。スロースはスロースで、チャンクにもらったチョコを半分こにしたりと愛らしい。わたしは幼い頃観た際は、顔が恐ろしいだけにスロースが何をしても気持ち悪くてしようがなかったのだが。