新年も

新年も






108つの鐘の音
街にその音が響く中
繰り返される行為


抱きしめられて


口付けをされて




自分を抱きしめる葉の腕に最初は抵抗していたモノの緩みもしないその力に蓮は諦めを感じた。
テレビは紅白歌合戦が終わり新年のカウントダウンをしている。
紅白だって葉が見ようと言ったわりには全然見られていなかった。
炬燵の上の蜜柑が香りを漂わせ、鐘の音以外の音は一切無いそんな空間。
熱を帯びた頭の中で蓮は考えごとをしているのだった。






俺達は何時からこんな関係になったのだろう。







昔は殺そうともした人は 今ではいなくてはいけない人となった。
男を愛する事なんて信じられなかったのが 今では口付け、それ以上をしている。
何時からだっただろうか。

思い出せない。

いや節目なんて無かったのだろう。
お互いにひかれあって、必要とし、今に至る。
何時からと問うのならば、もしかしたら生まれたときから決まっていたのかもしれない。


運命。


そんな言葉は信じないがふとそう思った。
そんな思いに耽っている中鐘の音は107つ。
蓮を抱きしめる葉の力が少し強くなった気がするのは気のせいだろうか。


「葉?」
「蓮・・・」




108。




新年が響き渡る。
「誕生日おめでと」
「あ。」


誰よりも早くに伝えられた祝いの言葉。
誕生日なんてどうでも良いと思っていたので驚く。

「・・・有り難う」
頬がほんのり赤くなった。
「あと“明けましておめでとう”か」
「普通はそっちの方が先であろうが」
「だって蓮が一番だし、一番に伝えたかったから」
頬の赤みが増す。


運命でも何でもよい


「馬鹿者」
「まぁないいだろ」
「うむ」


いまここにこうしてあるのだから


「明けましておめでと」
「明けましておめでとう」

「「今年もよろしく」」



そしてこれからもずっと・・・


あとがき
私が書くと大体蓮思考になってしまう(汗)。
とにかく蓮の誕生日にまにあってよかった~。
では新年が皆様にとって良い年であることを願います。
お粗末様でした。


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