道




 書道、という道を拒んだ友人は
 習字という学びを選んだ。
 思いを表すことは簡単でない
 と彼女は言葉にしたが
 美しい文字を書くことだって
 かたちあるモノを学ぶことだって
 想いをこめて、伝えている。と、思う。
 気持ちを込めれば何かしら
 伝わるモノがあるのではないだろうか
 それこそ己の道となる。


 この歳になり久々に
 旅をした。
 正しく言えば迷い人。
 青々と茂る草、
 淡々と流れる清い水、
 腐った街に暗い空。
 道なき道をただ歩き
 眼力を精一杯働かせ
 感じるモノすべてを受け入れる。
 吹いている風は少々涼しくて、
 何もうまないない闇に呑まれそうになる。
 それでも呑まれず淡々と想いにふける。
 “自分は今、いくつの命を奪い取ったのだろうか”と。
 食物連鎖、化学反応、生体状態。
 答えになど届きはしない。
 それこそ道の闇となり。
 うち勝つ力は道にある。
 しかし
 当たり前にある道を
 生み出した先祖達はどれほどの闇に包まれたのだろう。

 答えなど

   知るすべもない。


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: