我侭。





    君の言葉はひとつひとつが特徴的ででも透明で。今も、この胸に。






    「わがままね」


    いつ言われたかなんて覚えてはいないけどその時の君の目は覚えている。
    怒りや呆れがあるわけでもなく、ただ僕の目を見て。
    心まで見られているような気がした。
    でも僕としてはそんな心あたりもなく、ただ呆れていたんだと思う。



    「その言葉を言われる理由がわからないんだけど」
    「私の心を奪ったわ」
    「わがままよ」


    君は微笑んでそう言って。
    こう考えると君は素直でないけれど。
    言葉は今も、この胸に。


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