インターナショナルに生きる

インターナショナルに生きる

キス・・・ミス?!


たぶんあれは、私が肺炎になって、一週間家に戻って、寮に帰ってきた後。

今思い出すと、肺炎で苦しんでいたとき、何回も電話をくれたのは彼だった。
ものすごい咳で話もなにも出来たもんじゃなかったけれど、でも、「大丈夫?」「いつ戻ってくれるの?」とか、いろいろ励ましてくれたのは彼だった。優しい人という印象も受けたのも、その頃かもしれない。

それで、ある夜、彼に電話をいれて、ノートをコピーしたいとお願いした。
はっきりいって、まだ体がつらかったので、すべてのノートを書き写す余裕なし。
なので、図書館にいってそのまま印刷してしまうことにした。

「すぐ済むから、今夜中にノート返すね」
といって私は彼の寮を去って、図書館で印刷を済ましたあと、彼の寮にまっすぐ戻った。

「はやかったね」
といってノートを受け取る彼。
私は、「じゃ、ありがとう」と行って外にでた。
11月の末近くだったと思う。
外は、風が吹いていて、とてもさむい。
半そでに短パン姿の彼が、そとまで私を送って出てきた。
「さ、さむいから早く中にはいらないと!!」
ガタガタの私に対して、「俺はカナダ人だからへっちゃら」
といって鼻を高くする彼。
そんな彼がかわいくて、お別れのしるしにハグをしようと、手を広げて彼に近づいた。

首の右側に触れた彼の唇。
びっくりしたけど、なんだか嬉しいキスだった。

自分の寮に戻る道、にやけてしまったのを覚えている。
なんだか、くすぐったくて、嬉しくて、でも、そのころ、まだ自分の気持ちに気づいていなかった。
ただただ、彼のキス・ミスが、嬉しくてたまらなかった。
(ほんとは、口に小さなキスをしようとしたけれど、私はハグをするつもりだったので、それてしまったらしい笑)

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: