インターナショナルに生きる

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はじまりはじまり2


それは彼に電話を入れることだった。
カバンも洗濯もそのまま、昨日彼から電話が入ってから、
こっちに戻ってきたくてしかたなかったのだ。

「僕の寮においでよ」
と呼ばれてほいほい行ってしまった私。
この日を私は二人の「付き合いだした日」としている。
「付き合ってください」とか、そういうのがない私達には、
「記念日」がつくりにくい。だから、ある日私がこの夜、彼の寮で過ごした時間を、「記念日」にすることにした。
1月18日。 寒いデトロイトの夜。

付き合いはじめの一日目から、彼はいじめっ子だった。
彼の寮ですこし話をしていると、
「おいで」
って膝の上に座らせられた。

こういう状況には慣れてなかった私は、
なんだか照れくさくてドキドキして、しきりになにか話しをしていたような気がする。
じっと私を見つめる彼の綺麗な目と時間の空白で、頭の中はからっぽ。

「パーティでのこと、覚えてる?」
不意に聞いてきた彼は、私をまるでテストしているみたいだった。
「覚えてるよ」
って言っても、あんまり信じてないような表情。
「あの夜は、君酔っ払ってた?」

確かに、友達が誰かからもらったビール(笑)を半分こしたけれど、
酔っ払ってはいなかったと思う。
でも、私と彼がキスしだしたのは、なんだか信じられない光景でもある。
お酒のせいだったのだろうか。

「ビールは半分も飲まなかったし(友達がほとんど飲んじゃった)、そんなに酔っ払ってなかったと思うけど・・・あなたは?」
「僕もビールを飲んだけど、酔っ払ってはいなかったよ」
と言う彼。

ダンスフロアの、鳴り響く音楽と、暗い照明の下で見えた彼が、
なんだかいつもと違う風に見えたのは、なんだったんだろう。
お酒が回ったのか、それとも、私の隠れた気持ちが、顔をだしたのだろうか。

今考えても、理解不明な点が多いあの夜。

「あの夜、ダンスフロアでした事、覚えてる?」
と聞いてきた彼は、ますます私をテストしているムードだった。
「もちろん覚えてるよ」
「じゃあ、今、同じ事してみてよ」

いじめっ子の目の彼の膝の上で、焦る私。

結局、彼の膝の上で、キスはできなかった。
帰り際に、彼の首に腕を回してキスした。

「なんのキス?」
「なんのって言われても・・・」

今でも、キスの理由を聞いてくる彼。
一つ一つのキスに、理由なんて考えない私。

こんな感じで、はじまりました^^

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