Monkung Factory for ThinkPad

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フラグシップマシンTP760EL

フラグシップマシンTP760ELの思い出

 TP760シリーズは、時代の最先端技術・アイディアを積極的に取り入れたIBMのThinkPadのフラグシップ(旗手)マシンだった。企業向けのビジネスモデルだったため、一般庶民にはとうてい手が出ない「超高級機」だった。

ThinkPad760EL(9547-J4F)

※高級機の香り漂う、ビジネスマシンとして活躍したTP760EL(9547-J4F)

 初めてTP760EL(9547-J4F)を手にしたのは、2000年8月のこと。ものすごく頑丈な真っ黒ボディー。ふたをあけるとせり上がってくる、チルドアップ。1%単位でバッテリが監視できる液晶インジケータ。Card-Bus対応、ステレオスピーカ搭載。hddやfddがパック式になって交換が容易いや、キーがとっても打ち易いことなど、まさに高級機の匂いぷんぷんのマシンだった。

 しかし悲しいかな、高級機であるのにもかかわらず、中古市場でのTP760の評価は意外と低かった。その原因は、便利なように見えるパック式の拡張が逆にあだになっていることも挙げられるが、その図体の大きさと流通量も関係しているのではないかと考えられた。さらには、そのメンテナンスの難しさも挙げられるだろう。人気機種のTP535/560と比べて、TP760ELを構成するパーツは異常に多く、分解には多くの時間を費やさざるを得なく、到底「お気軽マシン」とは言い難かった。
 また当時、TP760ELのメンテナンスやクロックアップ方法はあまり紹介されていなかった。これは、多くの人たち(庶民)が手にすることができなかったためでもあるだろう。

■TP760xのクロックアップ
 TP760系はCPUがカードとなっているため、CPUカードによりパワーアップを図ることができる。私の場合、TP760EL(J4G)に同僚機TP765D等のCPUカード(MMX-Pentium/166)を搭載することで満足(?)していたが、やはり何とかクロックアップしたいと考えていた。

TP765DのCPUカード
※同僚機TP765D等のCPUカード(MMX-Pentium/166)

 TP760系のクロックアップは至難を極めた。

 当初、のチップ構成と、TP760ELのCPUカードを比較することで、クロックアップに必要なCPU動作 倍率の設定ランドと、FSB設定ランドを予想してクロックアップに挑戦したが、ぜんぜん的外れで、TP760ELを天国に送る結末を迎えてしまった。
 また、FSBを変更しようとして、PLL「W48C60」の足上げ改造を行って、足を折ってしまい天国行きになってしまったこともある。

 このような失敗を乗り越えて、200MHzまでのクロックアップ方法を解明できたのは、2003年8月のことだった。
 MMX-Pentiumのデータシートをもとに、テスタを使ってどのピンがどのランドにつながっているのかを地道に調べて、とうとう、CPU動作倍率の設定ランドを特定し、Pen/120/133の150MHz化と、M-Pen/166の200MHz化を達成することができた。

TP760系CPUカードのピンレイアウト
※TP760系CPUカード(TCP Pentium)のピンレイアウト。ビデオカメラで接写し、データシートと見比べながら右端からピン番号を数えるという原始的な方法で調べた。

TP760系クロックアップ制御ランド
※TP760系CPUカード上の制御用ランド。テスタを使ってCPUのピンとのつながりを地道に調べた。ちなみにBF0をVcc3に接続すると、200MHzクロックアップできる。

ThinkPad760EL(9547-J4G)
※TP765DのCPUカードを挿して、200MHzまでクロックアップを果たしたTP760EL(J4G)

 先日、久しぶりに起動したら、Li-Ionバッテリがあがってしまっていて、何度充電動作させてみても復活させることができなかった。(バッテリを本体に挿したまま保存するのは考え物ですね)

Dec. 2004 by Monkung Factory


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