MORITA in Cyberland

PR

Profile

mrtk@jp

mrtk@jp

Archives

August , 2025
July , 2025
September 25, 2005
XML
カテゴリ: 美術
北斎-江戸時代の生んだ天才絵師。
錚々たる浮世絵師の系譜の中でも、九十の齢を全うするまで精進を重ね、傑作を産み続けたその姿は、天に愛されたという意味で「天才」そのものです。

その代表作として名高い、「富嶽三十六景」が全揃い、ということで観に行って参りました。

さすがに全部をまとめてみるのは初めてでしたが、いやぁ、すごい、の一言。

構図の面白さ。人物・動物描写の巧みさ。風を描き、波を写す、その自由な筆捌き。そして、これらの作品が同時にワンテーマの実験連作であり、諸国巡りにもなっているという構想の妙。
天才が日本の誇る霊峰と四ツに組んだ、正に名勝負。

超有名作である、
『神奈川沖浪裏』(あの、ザッパーンって感じのやつです)
『凱風快晴』(通称「赤富士」)

-どれもこれも問答無用の名作でした-を除けば、
『甲州三坂水面』が私の好みです。

静寂の雰囲気を漂わせる街並み。
幻想的に湖水に浮かぶ小舟。
なだらかな山々の稜線の中、屹立する美しき富士。
そして、雪を抱いて水面に映し出される、もう一つの富士。
河口湖を舞台に描き出されるこの絵は、我々を幻想の世界にいざないます。

ちょっと、この富士を見に行きたくなりました。

『尾州不二見原』通称「桶屋の富士」の構成の見事さ-これが富士を描いたシリーズに加えられているという、心憎い演出の冴え。
『駿州江尻』の強風表現。『隅田川関屋の里』の疾走感。
富士をテーマにしながら、北斎漫画の実践編になっているわけで。


しかし、「三十六景」が46枚あるということを、今回初めて知りました。
うーん。自らの浅学非才を恥じるばかり、ですね。

同時に展示されていた、『諸国瀧廻り』『諸国名橋奇覧』も、すごく興味深かったのですが…。
特に「瀧廻り」シリーズは抜群に秀逸。これで展覧会やってくれないかしら。
あと、月の絵のシリーズなんか、この季節にぴったりの、ゾッとする位の名品だったのですけど…このシリーズは2枚しか現存しないそうです。残念。

浮世絵太田記念美術館 にいつもより人が多かったのは…やはり、私みたいなミーハーが多かったからでしょうね。
でも、この美術館に人が多く入るというのは、佳きかな佳きかな。


次回展は『浮世絵の楽器たち』展。
これも観に参りましょうか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  September 29, 2005 11:56:03 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Comments

RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…

Favorite Blog

ロシア生活2004-2012 koshka0467さん
 eco-blog 環境エン… 拓也@エコブログさん
Chobi's Garden chobi-rinさん
紺洲堂の文化的生活 紺洲堂主人さん
mypo MihO in Berlinさん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: