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カテゴリ: 美術
アンコール・ワット展



遺跡はその歴史を刻んだ生きた教科書。
アンコール・ワットも重く、切なく、歴史を刻んでいます。



強大な王権を背景に成立した大寺院。

その後の政権混乱。アユタヤ朝(タイ)によるアンコール朝の滅亡。

王族の作った大寺院は、民間の信仰の対象となり、16世紀にこの地を訪れた日本人は「ここが祇園精舎」と勘違いしたほど栄えました。
ところが、いつの間にかこの寺院は森林に埋もれ、歴史の影に細々と生きていくことになります。

大航海時代を経て、フランスによる植民地支配。


その植民地支配を引き継いだ日本による「解放」時代。
つかの間の独立、アメリカのベトナム介入の飛び火による政権の不安定化。

ポル・ポト派の台頭と国民虐殺、続く内戦、疲弊した国土。
内線が続く時代に、アンコール・ワットを夢見た一ノ瀬泰造さんは、密林の奥地に消息を絶ちました。

93年に総選挙。しかし、戦争の傷跡は今も影を落とします。
未だに残る地雷。家族を失った人々。心に残る消せない傷跡。



大切なことは、教科書には載ってないんですよね。

私が知りたいのは、勝者の歴史なんかじゃない。
何故、人は人を殺すのか。戦争は止められないのか。権力とは何か。

宗教が人を殺すなら、私はそんな神を信じない。

利権が人を殺すなら、私はそんな会社を許さない。

脱線が過ぎました。



今回の展覧会は、そんな歴史はとりあえずさておいて楽しむことが出来ます。
語られるのは、考古学趣味としてのアンコール・ワット。



何より、美しくたおやかな女性像。
凛々しく、力強く、女神に優しさを見せる男神。
リアリズムと祈りが昇華した造形。

個人的にはハヌマン神(ハヌマット)とガルダ神の、自然な佇まいに惹かれました。
かなりの数の神像・仏像と、要所要所に配置された丁寧な解説。
雰囲気を盛り上げるアンコール・ワットの写真。

考古趣味を満喫してきました。



数年前、父と二人、カンボジアに旅行しました。
そう、やはり、本物の持つエネルギーはものすごい。

アンコール・ワットのあるシェムリアップは、フランス資本が入って、高級観光地・リゾート地として生まれ変わろうとしています。
それが果たして、本当に地元の人々の幸せに繋がるのか。いや、そもそも、何がカンボジアの為になるのか。

幸い、明石康さんの活躍もあり、外務省アジア局の活躍もあって、日本は好意を持たれている国の一つです。
アンコール・ワットの修復プログラムについても、今回この展覧会の監修を務められた石澤さんを中心に上智大学などが活躍しています。

文化は戦争を駆逐する。私はそう信じたい。

そして、私は子供たちに希望を見ます。
伸びやかで、たくましく、可愛い子供たち。
彼ら、彼女らが、きっと明るい未来を紡いでくれると。紡いで欲しいと。



出口の書籍の充実振りは目をみはるばかり。さすがは、そごう美術館。
本屋さんがよっぽどの特集を組まない限り、手に入らないような本がずらりと並んでいます。
いや、お金を持ってなくて良かったぁ。なんとかブレーキがかかりました。




『大アンコール・ワット展』
-壮麗なるクメール王朝の美
そごう美術館 (横浜)

[会期]2005.10/29(土)~12/18(日)

★★★★★





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Last updated  November 9, 2005 01:54:02 AM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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