MORITA in Cyberland

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February 25, 2006
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カテゴリ: 演劇
その橋を渡る時は、必ず仮面をつけて渡るのだよ…。



雑踏の中で見た彼女の面影は、夢か現か幻か。

生贄の儀式の噂漂う、貴族の館。
剽軽な執事に連れられ、嘆きの橋を渡った先で出会ったのは、風格漂う兄と冷たい態度の姉、そして、彼女の若い頃の面影を宿す君。

狂言廻しの娼婦が騙る「歴史」。
甘い花の香りの奥に隠された真実。
夢から醒めて出会う現実。
紡がれるであろう未来。





薫り立つ血と幻想の物語。

小劇場という閉ざされた空間に、役者によって血肉を与えられた言葉がイメージとガジェットを召喚し、我々のすぐ隣にある異世界の空間への扉を開きます。



ジョン・レノンは、オノ・ヨーコに言いました。
「君の作品が"Yes"だったから救われた」と。

そう、この世界に横たわるのは、我々の生は"Yes"なのか、という命題。
人を傷つけ、傷つき、守り、守ろうとして失敗しても、なお"Yes"なのか、というギリギリの選択。

妖艶で力強い役者たちの演技に酔い痴れました。



三日月さん関連のお芝居を拝見するのは、3度目、なのかな?
(『 アルカディア 砂上のビショップ 』に続きなので)

主役お二人、 狩野さん 古関さん の安定感ある演技。
(リンクはお二人の公式ページへ。)





で、今回狂言廻し役で出演されていた 築谷さん
ちょっ、まっ、いや、知り合いの身贔屓を差し引いても、とんでもなく上手い。

観客の注目を惹き付け、場を転換させる、ハイトーンボイスからの入り。
不自然さを感じさせないトーンとテンポの調整で、ともすれば説明的な長台詞を、淀みなく聞かせるテクニック。

正直、私は長ゼリにはそこそこ自信があるのですが、いや。
脱帽です。無理。勝てない。

これが続ける、ってことの意味なのですね。
考えれば、私のブランクも5年くらい。
芝居を観る本数も減ってしまいました。

それとも才能? それとも努力?
だとすると、私は芝居を続けないで正解だったか。



嗚呼。

でも、もう一度くらい、まだ体が無理できるうちに舞台に立ちたいよなぁ。
何も考えずにセリフを舞わして、真夏の夜の夢を紡ぎたい。

なんだろう、この焦燥感にも似たセツナサは。
羨望? 嫉妬? 憧憬? 悔恨?

せめてもう一度。
どこかで夢を見る時間は…作れるか?



閑話休題(それはさておき)。

さて、貴族の兄妹を演じられた 荻須さん、かやべさん
客に硬軟どういう情報を与えるかが難しい役所ですが、雰囲気で上手くこなしていらっしゃいました。

荻須さんの 間の取り方は、なんか貴族っぽくて、ぴったり。
(いや、貴族の知り合いなんていませんが。)
ただ、良い声なのに、響ききってないのが惜しい。

かやべさん の温かいが故に冷たいキャラクター造りは、本当に見事。この人も上手いですよねぇ。



執事&メイドの面々では、執事さん役の 榎木さん の飄々としたお芝居が素敵。小芝居も小技を利かせていて良い感じ。

如月さん の演技は、若やいだ雰囲気作りに一役買っています。
はしゃいだ演技の中でのメリハリがつけられるようになれば、もっと面白いお芝居が出来そう。

熊谷さん、薗田さん は、Juleの方で、少年役で出演されていましたよね。
あれくらいの量のセリフがあった方が、魅力が活かされるなぁ、と。

遠藤さん の雰囲気も素敵。私が拝見するのは初めてかしら?



そして、 梅原さん
『砂上のビショップ』同様、セリフの少ない、幽鬼的な役回り。
で、ありながら、同時に語られざるヒロイン。
こんなとんでもない役をこなしますか。
さすがの存在感。



はっ。昔のクセで、つい長々と…。



以下蛇足ながら。

舞台装置の使い方が秀逸でした。

舞台面から幕布を引き出して、クレーンに吊り下げ、引き上げて天幕に見せる手法は、かなり面白く、それを「黒魔術の準備」として観客の面前で見せる演出も上手い。

紗幕に継目があるのは意図的?
「没落」とかを暗示しているのかなぁ、というのは深読みがすぎるかしら。

床の魔方陣をもう少し上手く使えると、もっと面白かった気がしますね。

2F(オペ室ですよね?)や客席通路を使った演出も私は好き。
下手するとあざとくなってしまいますが、うまく使えると、空間に広がりがでますよね。



わざわざ書くほどのことでもありませんが…。

オープニングの間が、冗長に感じられたのは残念。
一曲聞かせたかったのかしら?
ここの意図は読めなかったなぁ。
フラッシュバック風の演出とかある方が私の好み。

あとラスト前、暗転のシーン。
片付けの音が聞こえてしまうのはなんとも惜しい。
消音のために音入れしても良かったのでは?

なんて、アンケートに書いてみました。



ふぃー。

こういう、稠密なガジェットと緻密な言語感覚で構成された世界観のお芝居を、私の貧弱な語彙で紹介するのは、無理がありますね。

それにしても、観に行って良かったです。

はぁ。お芝居なぁ…。
観るより演りた…なんでもないです。

-----

三日月バビロン  『リンデンバウム ~ 回転木馬の柩』
ザムザ阿佐谷

(駅から徒歩数分の好立地。劇場自体も天井が高くて、芝居も天井の高さを活かしていて、かなり面白かったです。)


2006.02/24(金) - 02/26(日)

公演時間
     │24(金)│25(土)│26(日)
13:00 │ ─  │ ─  │ ◆
14:00 │ ─  │ ◆  │ ─
18:00 │ ─  │ ─  │ ◆
19:00 │ ◆  │ ◆  │ ─

出演:(公式ページよりコピー)

狩野夏妃 古関千華子 かやべせいこ
荻須夜羽 榎本淳 梅原真 
築谷奈緒子 熊谷聖美 薗田弥生
如月せいいちろー 遠藤よし子 関耀子 他

★★★★★





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Last updated  June 21, 2006 07:23:26 AM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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