MORITA in Cyberland

PR

Profile

mrtk@jp

mrtk@jp

Archives

August , 2025
July , 2025
September 16, 2007
XML
カテゴリ: 読書
通勤時間がなくなって、本を読む時間がなくなっていたのですが、
ちょっとまとまった時間が取れたので、数冊を一気読み。

久々にこれだけ読むと、気持ちよいですね。
文芸系と政治系の2回にわけて。

=====


いとしのヒナゴン 』  重松 清


やられました。

-----
これは、ふるさとの物語だ


そこに東京で夢を追いかけていた若いヒロインが帰ってきます。

未確認生物「ヒナゴン」発見のニュースに飛びつく町長。
老齢の前町長の画策。市町村合併を進める、隣市の思惑。

ヒロインの、同級生達との意外な再会。
ガキ大将の取り巻きだった悪ガキの、それぞれの「今」。

-----
「ふるさと」は、やっぱり田舎で、「嫁不足」の問題あり、
「介護」の問題あり、「福祉」の問題あり、噂という暴力あり、
様々な問題が絡んで、ドラマは進みます。

=====
印象に残ったシーンから。


ヒロインと共に、その作品を市役所に飾ります。

-----
それを見た町長の「イッちゃん」は
こんなの意味がない 」と切り捨てます。


ここにある絵は、みんな良く想像はしてるけど、信じてない。
そんな作品を「想像図」として飾っても意味がない、と。

-----
読んでいて、ハッと胸を突かれました。
あとがきによると、作者が描きたかったのは、信じる心、なのだそうです。

果たして、同じ課題が出された時に、
私は「信じ」て想像することができるだろうか、と。

いや、現実に即して言えば、「イッちゃん」のように、
「信じる」本質を見抜く目が自分にあるだろうか、と。

=====
「イッちゃん」の行動は、破天荒でありながら、
決して「大切なもの」を外すことはしません。

その姿は、さすが伝説のガキ大将。

-----
また「イッちゃん」の奥様が、またカッコ良い。
暴走族として「イッちゃん」の追っかけをしていたという経歴を持つ彼女は、
見事に「イッちゃん」を支え、鼓舞し、自らも「戦って」みせます。

=====
魅力的な登場人物たちに加え、先行きの見えない政治展開が、物語を彩ります。

-----
物語を通じて、少しずつ変わっていく、若者たち。
そして、「運命の日」の「運命の瞬間」に向けて、物語は加速していきます。

果たして、「ヒナゴン」の正体は?
町長の「イッちゃん」の決断やいかに?

そして「運命の日」、町に奇跡が起こります。
その奇跡は、きっと、忘れられない感動を心に残すでしょう。

この町をずっと追ってきた新聞記者が呟きます。
「これで町は一つになった。これから良い町になるぞ」と。

=====
何よりこれは、「ふるさと」の物語。

定年ゴジラ 』『 トワイライト 』でニュータウンの問題を描いた作者が、
「ふるさと」の抱える問題に、正面から向き合った作品なのです。



「ヒナゴン」に仮託されているのは、他でもない、「ふるさと」そのものです。

-----
「ふるさと」にどう生きるか。
「ふるさと」をどう生かすか。

東京に住むこと、あるいは海外に住むことではなく、
地元に帰ることを選んだ私自身にとって、
この物語は、決して他人事ではありません。


「ふるさと」にどう生きるか。
「ふるさと」をどう生かすか。

私にも出来ることがある、と信じたい。
私にしか出来ないことがある、と信じたい。


=====
この作品、2005年に『ヒナゴン』の題で映画化されている、とのことなのですが…?


うーん。観てない、というか、知らなかったなぁ。
てか、文庫化に合わせて配給してもらえませんかねぇ。

=====


「世界征服」は可能か? 』  岡田 斗司夫


いや、本当、世界征服って、大変なんです。

題名から想像すると、一見とんでも本の類ですが、
さすがオタク学の泰斗、そんなヤワな話はしません。

-----
ヒットするマンガ・アニメが、「現実」のカリカチュアライズなり、メタファーである要素を含むが故に、
それを徹底的に分析することは、「現実」そのものを解体することでもあるのです。

-----
おかしみと豊富な例示を含みながら、分析はあくまで、冷静、徹底的。

そしてその先には、想像もしなかった「悪の組織」像が浮かび上がってきます。
「それ」が「悪の組織」となってしまう「現実」。
それは、現実社会がいかに歪んでいるかの反証とも言えるでしょう。


=====


ドアの向こう側 』  二階堂 黎人


本格ミステリ作家の代表である筆者による
ハードボイルド・パロディの第三集。

ミステリ史上最も孤独な探偵、渋柿信介に襲い掛かる、
本格仕掛けのシリアスな事件。

短編集だけに、どれも短くて読みやすいにもかかわらず、
しっかりとした伏線、ミスディレクションが用意してあるのは、さすが。

下はシリーズ『 私の探した少年 』と『 クロへの長い道 』です


二階堂さんって、きっと良いパパなんだろうなぁ…。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  September 19, 2007 06:43:08 AM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Comments

RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…

Favorite Blog

ロシア生活2004-2012 koshka0467さん
 eco-blog 環境エン… 拓也@エコブログさん
Chobi's Garden chobi-rinさん
紺洲堂の文化的生活 紺洲堂主人さん
mypo MihO in Berlinさん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: