― 虚 室 生 白 ―

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May 14, 2011
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これまで自分の裸を鏡で見るときは、

とても大きなおなかをしていたのに、

この日のわたしのおなかには、それがない。

あらためて、

わが子が自分の中から巣立っていったことを実感する瞬間でもあった。



そして、ただ一つの言葉を幾度となく繰り返した。

「子宮さん、ありがとう」

わが子を作り、守りぬき、育ててくれ、



命を生み出してくれた

子 宮 。



シャワーを浴びながら、

何度も何度も自分のおなかをなでて

子宮に感謝した。



感涙にむせぶという次元を越え、

爆発的な感情の営みが波打ち、

強烈に込み上げてくるものを抑えることができず、

息が嗄れるまで泣いた。



こんな気持ちは、

生まれて初めてだった。



*





さっきまでおなかの中で生きてきた愛しいわが子が、

今、目の前にいる。

本当に信じられないくらいに感動した。



わたしの病院は母子同室だったため、

産後すぐに母乳育児が始まった。



体はヘトヘトだったが、娘が求めるままにおっぱいをあげた。

おかげで翌日から少しずつ、母乳が出始めた。



入院中、何度か子宮収縮の度合を診てもらった。

おっぱいの下まで大きくなった子宮は、

胎児を生み出した後、少しずつ元の大きさに戻っていく。

下腹部を触って、硬いものを手で感じる。

日に日にそれが、小さくなっていく。

子宮というものの存在価値に、

強烈に感動した。



*



生まれて初めての出産、わが子の誕生、母性の確立。

これまで生きてきた中で、一番濃い一週間だった。

まるで自分の20代の10年間を凝縮したかのような。



ここで得たものは計り知れない。

感触、感覚、感動、教わったすべてのことに、

感 謝 。



わたしは一生涯、この日々のことを忘れない。

神様、、ほんとうにありがとう。



家へ帰ると、家族が嬉しそうな顔をして待っていた。

これまで見たこともないような笑顔で。

娘は、人を喜ばせてくれる、

希望の光だ。



わたし自身の

生きる希望。







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Last updated  September 21, 2011 07:07:51 PM
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