鮭と町屋の暮らしブログ―味匠喜っ川便り

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朝の随想4 -村上町屋商人会誕生の裏話-

朝の随想4 「村上町屋商人会誕生の裏話」


「町屋の人形さま巡り」や「屏風まつり」を主催しているのが村上町屋商人会ですが、町の衰退を憂いた商人達が集まって、なんとかしようではないかと会議を重ね、その結果、誕生したというような組織ではなかったのです。ちょっと奇想天外な商人会誕生の裏話をします。


<まち全体をよくするために>
「町おこしをしたいなら自分だけが良くなろうとしては駄目だ。
機会があれば少しでも他の店の紹介をしてあげなさい。」
町おこしの師匠として仰ぐようになった会津若松の五十嵐大祐さんの教えが事のきっかけでした。

丁度、私の店でチラシを出そうと考えていたので、このチラシに町屋のお店を紹介するマップを入れようと考えたのです。
早速、江戸や明治と思われる古そうな町屋のお店を中心に、一軒一軒、訪ねて行きました。
「チラシを作るのですが、お店をイラストで紹介してもいいですか。お金は要りません」
というと「そうか、いいよ」と言ってくれました。

更に一言添えて「旅の人が訪ねてきたらお店の奥の古い町屋の部分を見せていただけませんか。」というと「いいよ、隠しようが無いし」と言ってくれました。


<マップから新たなひらめき>
全く計画的ではなかったのですが、この段階で、地酒や、染物、鮭料理、堆朱やお茶に和菓子など22店舗の老舗が、なんと江戸や明治の町屋の中を公開するという非常にユニークな形ができていたのです。
「待てよ、この老舗を一つの会にしたら、力を発揮するはずだ」とこの時はっとひらめきました。

改めて一軒一軒回り、会にしませんかとお願いしたところ、全員「いいよ」と言ってくれたので会として承認されました。
自分でも驚きましたが、このように突如できてしまったのが「村上町屋商人会」でした。
この間わずか1週間。


<一週間でできた商人会>
そこには町おこしの意識もなければ、例会も会費も面倒な仕事もない。
普段と何も変わらないという状態です。
店のチラシ作りが転じて生まれた、形だけの組織でしたが、この組織の誕生こそが、じわじわと効果を生み、まちづくりへの意識を高め、それが後の数億円の経済効果を生み出す町屋の大イベントの母体となったのです。

平成10年7月に商人会が発足して以来、この取り組みがテレビや新聞で何度も取り上げられるようになりました。
町屋、町屋と話題になり、一年たった頃には一般市民も「最近変わってきたね」と言うくらい、明らかにマップを持って歩く人の姿が見かけられるようになったのです。


<次なる手立て>
しかし、町に新しい風を吹かすことができたと、一定の成果に喜びはしたものの、まだまだ町の活性化のためには力不足だと思ったのも事実でした。
もっと町屋に光を当てる手段はないかと模索するようになり、たどりついたのが、家に伝わる雛人形をはじめ、武者人形、土人形、市松人形などをこの町屋の中で展示し、一般の人に公開するという「町屋の人形さま巡り」だったのです。


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