私の読書歴




小学校以前

 それほど教育的な家庭でもなく、特に本を読む人もいなかったのか、絵本の記憶はほとんどない。覚えているのは、せいぜい、本屋の片隅でくるくるまわるラックに入れられた、妙にはっきりした色の写実的な「どうぶつ」とか「きんたろう」とかだ。江國香織とは同年齢なのにえらい違いだ。(当たり前?)


小学校1年~2年

 家にセールスで講談社の世界の名作図書館(昭和47年4月12日第一刷発行)を売りにきた。母が玄関先でセールスの女の人と話していた姿をはっきり覚えている。母は買おうと決断した。まさにそれが、私にとっては運命の出会いの瞬間だったのだ!(大げさ?)
 その後、夜寝しなに、母が日本や・外国の民話や神話を読み聞かせてくれた。それと同時に、自分でも堰を切ったように収録されている物語を読み始めた。
「アルプスの少女」「若草物語」「赤毛のアン」「飛ぶ教室」「小公女」…といったいわゆる外国の名作ものである。

小学校3年以降

 友達が買ってもらっていた花模様のついたきれいな本を見て、街に行くたびに、そのシリーズのコーナーに行って立ち読みするようになる。それが、長い長い読書のたびのはじまりとなった少女名作シリーズとの出会いである。偕成社から出ていた。(昭和48年6月第一刷発行)「夢のバレリーナ」「エレン物語」「母のおもかげ」「リラの花さく家」「天使の花かご」…など外国のひたむきな少女の物語で雰囲気にあこがれてしまった。買ってと恥ずかしくて言い出せず、立ち読みになったが、いつも心の中にあった。鮮烈な読書の原風景で、今もそれは続いている。
 もひとつステップアップした感じのシリーズもあった。「悲しみの王妃」「女王クレオパトラ」「少女ネルの死」など。死や悲劇が題材とされたものも多かったがひきこまれた。これもお買い物の短い時間にひたすら立ち読みだった。

小学校高学年

 少女ものはずっと立ち読みで。学校の図書館で、いろんなものを読んだ。読書の時間は何も聞こえなくなるほど、本の世界にワープしていた。
 ケストナーのあの少年たちの世界が大好きになる。ルパンシリーズなんかもよく読んでいた。
 残念なのは、この時期友だちは外遊びが好きで、本についての意見交換とかしなかったし、本を読むこと自体、ガリ勉のイメージがありそうで、恥ずかしく、思い切り読まなかったことだ。
 今、岩波の少年文庫の目録など見ていると、小学校の高学年でストーリーのある
大作がたくさんある。人生や世の中について考えるきっかけとなるものや夢とロマンを育むものをもっと読んでおけば、もっと想像力豊かなロマンチックな人間?になれたかも…
 もう一度、小学生に戻って、時間をたっぷりかけて、いっぱいいっぱい読みたいが。

中学生時代

 児童文学はほとんど読まなくなり、新潮文庫など買って、大人?の文学を読み始めた。なぜか、川端康成と石坂洋次郎をよく読んでいた。今思うと、川端康成は少女シリーズと同じ感覚で読んでいたのかも。少女の美しさ、はかなさをえがくものが多かったので。石坂洋次郎は青春ものだったからだろう。昔の青春だったが、恋や若者の楽しさにあこがれたのかも。
 「20歳の原点」シリーズや「氷点」「アンネの日記」など生き方や人生を考えるものも思春期らしく読んでいた。
 今に至る文庫読書の始まり期で、この頃から、少しづつ、太宰治、三島由紀夫、夏目漱石、大江健三郎、安部公房、松本清張…など、近代から現代の純文学を読み始めていたようだ。
 しかし、本好きなんて誰にも言えなかった。

高校時代

 近代から現代の純文学乱読爆発時代だった。受験ともなると、ますます読みたくなって、3年生の時も一晩で1冊とかよく読んでいた。
 外国文学も全集をそろえてもらったので、少しづつ読んだ。ゲーテ・チェーホフ・カフカ・シェークスピアなど好きだった。もう忘れたものも多いけれど。
 子どもの頃は外国文学にあこがれていたのに、この頃になると、訳文が気にかかり日本文学のほうが、じかに響いてくるので没頭できた。
 本好きな子もたくさんいたが、なぜか本についてはこっそりと、ひとりの楽しみだった。


大学時代

 近代から現代の純文学は読みつづけた。あいかわらずの乱読。さらに大学の専攻は社会科学系だったため、社会学傾向のもの、時代を読み解くものでわかりやすく書かれたものもさかんに読んでいた。「レトロ」などという言葉も流行った時期で、自分も子ども時代をふりかえり、懐かしく思いはじめ、昔のドラマや歌、アニメなどについて書かれたものもよく読んでいた。児童文学にも興味を持ち、今江祥智・灰谷健次郎など読む。
 本について話せる友だちや年長の知人もでき、意見交換も楽しくなった。まだテレはかなりあったが。
 演劇をやっている友だちに寺山修司の存在を教えてもらい、読み始める。


就職後

 現代女性作家の書くものを読むことも増えてきた。エッセイ類もよく読み始めた。田辺聖子・林真理子などもこの頃から本格的に次々と読む。
 かたい本は少なくなったが、社会学ものにはあいかわらず興味があってぼちぼち読む。
 本・ドラマ大好きな友だちができ、松本清張や田辺聖子などについても初めておしゃべりを楽しめるようになる。


30才頃から

 日常生活にひそむ人間の心の闇を描くミステリーが好きになり、最近の女性作家宮部みゆき・乃南アサ・小池真理子など読み始めた。林真理子、田辺聖子もますますかたっぱしから読む。短編も好きになり、アンソロジ―もたくさん読む。年齢的に考える時期なのか女性作家のエッセイなどもよく読む。 
 この読書傾向が今も続いている。


これから読みたいのは…

 もう一度、学生時代読んでよかった近代から現代の作家を読み返したい。また以前から、読みたいと思いつつも挑戦しては挫折する古典に再挑戦したい。あと、読んだことのない作家を開拓したい。子どものためにも絵本や児童文学を楽しみたい。 

                               2002.8



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