妻が応募していた。第1回は漏れたようだったが、第2回は当選したらしい。どうしても受けたい。もう一度若い頃を取り戻したい。そういって私の反対を押し切り出て行った。娘はあきれていたが妻の気持ちがわからないでもない。
妻の経過
帰ってきた当日、体の調子がすこぶるいいそうだ。内蔵を総取り替えしてもらったかのようだといっていた。肌はあまり変わっていないがこれから若返っていくのだそうだ。
次の日、日焼けの後のように皮がむけ始める。全身からぼろぼろと皮を落しながら歩いている。かゆいのか体中をかきむしっているが、その下からは張りのある肌が見えている。
昼頃妻は気分が悪いといってトイレに入る。嘔吐する声が聞こえ急いでいってみると便器にはなにやら肉のかたまりのようなものが浮かんでいる。説明書には皮膚と同様内臓が生まれ変わった際にでる老廃物だそうだ。その後は気分もすっきりしたようで、確かに見た目も気力も若返ったように思えた。
残念ながら最終回になってしまいました。今回抽選に漏れた方は、以後国内に設置されるリフレッシャー完成版をご利用ください。 |
妻の経過2
見た目も体調も完全に若返ったようだ。見た目は結婚する前の妻に戻った。街を歩くと娘を連れているかのような状態だ。少しうらやましい気がする。
数日、調子のいい日が続き、完全に体に馴染んだかに見えた。しかし今日の昼頃相当な負担であったのか咳き込みながらベッドに潜り込んでいった。
その次の日また体中から皮膚が落ち始めた、前回のように一皮むけるのではなく、下の皮膚の再生が追いつかないうちにむけている感じで赤くはれ始めている。リフレッシャーの会社に連絡するとすぐに係員が自宅にやってきた。
そして、救急車ではないふつうの車に妻は乗せられ、病院へと搬送されていった。
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以前と同様にこちらから連絡いたします。今回抽選に漏れた方も是非会場まで足をお運びください。 なお、落選された方は以後主要駅周辺に設置される予定のリフレッシャーをご利用ください。 場所と日程は以下の通りです...... |
まだ妻は帰ってこない。連絡もない。ほかの人たちは第3回体験会に乗り込み抗議をする予定らしい。第1回から考えると半年もたつので仕方のないことだろう。しかし一部の噂によると必ず若返って帰ってくるという。
リフレッシャーは事実上完成していて、街角における簡易版が作成可能かどうかの実験だったのだろうか?それなら多少失敗したとしても責任を持って若返らせ、自宅に帰すことができる。それなら焦る必要がなぜあるのかわからない。
安全に確実に作っていけばいいのに。
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皆様ご協力ありがとうございました。第3回では不適合者はいっさい出ず完成が確認されました。以後全国に設置予定ですので皆様のご利用お待ちしています。 |
妻が完全に(?)若返って帰ってきた。リフレッシャーの完成と同時期だった。妻の話によるとほかの人たちも同様に帰ってきているという。その人たちも若返り手術をうけ不調なく元気だという。観察期間が必要だったので時間がかかったそうだ。
そして気がついたことだが妻とは話がかみ合わない。過去の記憶を一切なくしているという。脳細胞がリフレッシュされるかららしい。しかしリフレッシャを使った人たちの記憶が消えるという話は聞いたことがない。全く別人と話しているようだ。最近はクローン技術が発達している。もしかしてクローンではないか?実験に失敗したので全く新しい”もの”がきたのでは?と疑わずにはいられない。