当てとフンドシは向こうから外れる

鍵山さん・大きな努力をして小さな成果



金光:  でも、やっぱり少ない労力で、最大の効果を上げるのが最も近代的な生き方であるというふうな、何となく大きな努力をして、小さな結果しか出ないのは詰まらないではないかというふうな考え方というのは、以外に多いと思うんですが、大きな努力をして小さな結果しか出ないと、詰まらないとはお考えにならないわけですか。

鍵山:  はい。その大きな努力で、小さな成果ということが詰まらないという以前に、それでは小さな努力で大きな成果を手に入れた場合どうかと言いますと、非常に不安定で。

金光:  それはそうですね。

鍵山:  そして何時失うか分からない。そういう危険性を持っております。それからまたそういう歩み方をした場合に、必ずどっかに後味の悪いものを残したりしがちでございます。一方、大きな努力をして、小さな成果を手に入れた場合には、大変大きな喜びがあって、後味もいい生き方になるんではないか、そんな考えでございます。

金光:  確かに戦後間もなくの時代に生きていた日本の人で、五十年後、今のような日本になると予想された人は、恐らく一人もいなかったと思いますが、いろんな、みんなが努力した結果がこうなったということも言えると思うんですが、逆にそういうマイナスの方向に、少しづつ積み重ねていくと、酷い結果が出て来るという。このこともまた方法が違うだけで、同じようなことになる可能性があるわけでございますね。小さな努力だけで、大きな結果を得ようと思う方向で行っていると、ひっくり返った時の結果も、非常に酷い結果が出るということも当然考えられるわけでございますから。

鍵山:  そうでございますね。今の世の中を見た場合に、いずれも小さな努力で大きな成果を手にしようとして、失敗したことばかりでございますね。ただ単なる失敗ではなしに、大勢の人に迷惑を掛けるようなことが、沢山起きております。一方で、名もなく、この町の片隅で大きな努力をして、そして小さな成果を手にしながらいる人達も多いわけですね。こういった人達が実際には世の中を支えているんではないかと、私は思うわけでございます。

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