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おらほのかーちゃんのブログ
震災の記録・1
出勤日だった私は、勤務先から車で20分ほどのデイサービスセンターでサービス担当者会議をしていました。会議が終わり、外に出て車に乗り込んだその時でした。
「車が揺れてるー、随分強い風~」と悠長に言っていた私に、一緒だった産休代替え予定のOさん、「・・・違う!!地震!!」・・2人でとにかく車から出る。幸い駐車場は広く、安全。
それにしても揺れが長い!!いったい何分揺れていたのだろう。駐車場の車が横倒しになるのでは?と思うほどの揺れ。
デイサービスセンターでは非常口を開放し、建物外への利用者の誘導を始めている。私たちはとりあえず外から誘導を手伝う。
揺れがおさまったところで、車に乗り移動を開始。この時点ではまだ「大きい地震だったなぁ・・」くらいの感覚で、その規模と被害については知るよしもなかった。
とにかく大きな地震だったから、さーちゃんを迎えに、おとーさんか、ばーちゃんに行ってもらおう・・。2人の携帯に交互にかけ続ける。地震のあとって、繋がらないんだよねー・・(今思うとこれもまだまだ甘い認識)。でも運良くおとーさんに繋がる。おとーさんにさーちゃんのお迎えを頼んでひと安心。
そして施設に戻りながら近くの独居・高齢夫婦の家を数軒まわってみよう、と車を走らせる。国道の交差点にたどりつくと・・信号がついてない!!!うわ、停電だ!国道は危険。何とか迂回しながら4件のお宅を訪問、無事を確認。
電車の線路の遮断機も降りたまま。「あれ、こんなんでも電車走ってるのかぁ・・。ん?いや、停電だから走ってるわけない!開かずの踏切になっちゃったんだ!」これまた迂回。
やっと開いている踏切をみつけ、どうにかこうにか施設に戻る。
移動中のカーラジオで、大津波警報をひっきりなしに伝えている。4メートルの津波が予想される・・・え、今まで聞いたことないよ、4メートルなんて。せいぜい数10センチの津波なら時々あるけど・・それって、何?・・不安を感じつつ、津波到達のニュースを聞く。余震も続いている。運転していてもわかるくらいの大きさの余震。いやはや、すごいな・・・。
施設に着くと、電気・水道ストップ。懐中電灯やライト類、トイレ用の水をデイサービスのお風呂から汲んで準備しておく。私たちケアマネとヘルパーさんは、とにかく一人暮らしと高齢世帯の安否確認。電話はもちろん通じず、直接出向くが、信号ストップで混乱している道路でははかどらない。とりあえずひととおり把握できたところで、帰宅。
家も真っ暗。懐中電灯とろうそくで明かりをとる。反射式ストーブ2台あり寒さもしのげる。ガス(プロパン)と水道はOK。ほ、電気さえ通れば大丈夫ね・・と、この時点では思っていました。
さーちゃんは元気。地震のことは「ゆらゆらしたの。先生とおそとに出たよ。ちょっと、泣いた」と教えてくれました。余震があるとすぐ抱きついてきて、やっぱり怖かったんだね。
茶の間に布団を敷いてみんなで雑魚寝。ラジオを一晩中聴いていると・・・・
「津波で壊滅的な被害」「火災が起きている」「道路が寸断」・・・・いったい何が起きたの?どうなっちゃってるの?とにかくひどいことになっているらしい。
釜石はどうなってる?釜じい、釜ばあ、兄、義姉の携帯にかけまくっても全然通じない。
おーい、携帯、繋がってよ・・
盛岡市内も、固定電話・携帯電話がつながらない。おとーさんにさーちゃんのお迎えを頼む電話が通じたのは奇跡だったのか?
携帯いじりまくっているうちに充電が減ってしまう。乾電池で充電できる充電器を持っていたので、家中の電池を集めてみんなの携帯を充電。便利なグッズでした。
消防団員のおとーさんは一時屯所で待機しましたが、泊まり込むくらいでもなく帰宅。
とにかく、ラジオから流れる言葉に不安をつのらせながら眠れない夜を過ごしました。
3月12日(土)
釜石と連絡がとれず心配。でも徐々につながってくるだろう・・と思いながら出勤。
施設では水道が出ず(電気でくみ上げているため)、浄化槽から直接水をくんで運んでいる。
ライフラインの復旧と食材の調達の見通しがつかないため、しばらくデイサービスはお休み、ショートステイの入所予定の方も見通しがつくまで延期ということにして、利用者宅をまわりお知らせ。電話は通じないまま。時々運良くつながることはあってもほぼ無理。
みんな携帯の充電が切れており、車のシガーソケットで充電する機械や私の乾電池式のを使って充電する。
一日たって、だいぶラジオからの情報で状況が見えてきた。
津波で沿岸部はほとんどの町が流されてしまっているようだ。電話も携帯も、繋がるわけがない。つなぐための設備がなくなってしまったんだろう。何らかの方法で連絡がとれるようになるまで待つしかない。
いったいどんだけ大きな津波だったんだろう?想像できない。
ラジオでは、比較的つながっている携帯メールで受け付けたメッセージを流している。
たとえば、「老人ホーム○○、入居者、職員全員無事です、ご安心ください」・・等。沿岸に住む家族に、安否を知らせて欲しいというメールも。
同じく沿岸出身の同僚と、「どうなっているのかテレビで見たいけど、見るのが怖い気持ちもあるよね・・。」と話す。お互い、不安。
帰宅すると、おとーさんが会社から発電機を運んできていた。携帯の充電ができるぅ~。
ライトにつないで、昨日よりは明るくできた。
そしてテレビにもつないで・・・
え?何、これ?日本?岩手?え?どっかの戦場か何かじゃないの?
ひどい光景・・・
ちょうどNHKで「釜石に到達した津波をカメラがとらえていました」と、流し始める。
あ、ここって。兄さんの職場から近いところじゃないの・・・
ぐんぐん波が押し寄せてきて・・防波堤を越えて・・どんどん町に流れ込んで・・建物が倒れる、流されている・・・町が、町が壊されていく!!!逃げ遅れたらひとたまりもない!
途中から直視できずおとーさんにしがみついて号泣・・。
さーちゃんも何が何だかわからないけど泣き出し、ばーちゃんが抱いてくれる。
あまりにショックが大きく、しばらく茫然自失。
どうなっている?兄さん、逃げたよね?まさか会社の大事な物を持ちだそうとして遅れたりなんかしてないよね?
義姉さん、仕事中だったよね。仕事場なら大丈夫だったはずだよね。れーじ兄ちゃん、学校にいた?それとも家?どちらにいても大丈夫だったはず。まさか何かの用事で2人で出かけてたりなんかしないよね?
まさか釜ばあ町に出てなんかいないよね。家は市街地からかなり外れているから波は来ないはず・・釜じいも家にいたよね?
市街地に住む従兄と家族も、逃げたよね?すぐ高台にあがれるはずだよね。従兄も消防団だから、避難誘導していて逃げ遅れたりなんかしてないよね?
ヨシばあ、ヨシばあの施設は絶対大丈夫だよね。絶対津波は来ない所。地震から職員さんに守ってもらっているよね。
・・・ぐるぐるぐるぐる、色んな考えが頭に浮かんでくる。連絡を取るすべもない。
あまりの不安に、ラジオ局にメールを送る。家族の名前と「心配しています。連絡取れるようになったら連絡ください。」連絡できない状況だろうというのは百も承知。もしラジオを聴いていて、連絡取る手段ができたら、声を聞かせてほしい・・。お願い、無事でいてほしい。。
しばらくしてラジオでメッセージが流れる。その後すぐ、親戚のMくんが電話をくれる。
「ラジオ聞いたよ。こっちでも何かわかったら連絡するね。でも、絶対、大丈夫だよ。みんな無事のはずだよ。」と励ましてくれる。しかも、自分の携帯の調子が悪いから、と友達の携帯から。ありがとう。・・それにしても、よく私の携帯番号知ってたな・・そっか、Mくんが盛岡で就職することを聞いたとき「何か困ったことがあったら連絡するんだよ」ってお姉さんぶって番号教えたような気がする。なのに、今は同じく家族のことを心配しているMくんに励ましてもらっているよ・・
同じくラジオを聴いていた友達もメールをくれる。ありがとう。
けっこう大きな余震が続くなか、眠れない。。。
お腹の赤ちゃんは、元気に動いている。まるで「おかーさん、しっかりしろよぉ!」って気合いをかけるようにキックしている。いい子、いい子。あなたがまだお腹にいる時で良かった。おかーさんと一緒にいるんだよ・・。
3月13日(日)
今日は休み。電気はまだ復旧しない。さて、とりあえずさーちゃんのパンツを洗濯しないと足りなくなるし。小さなものだけでも洗おうか、と洗面所で手洗い。
給湯もできないのでガスで沸かしていたお湯を使う。なんか、昔みたいだぁ。
おとーさんの仕事も、結局、いつ災害復旧の要請がくるか分からないし、電気も通っていないと仕事にならないらしく、待機状態。
午前中、断水予告の広報車が走る。え、今から?こういう断水もあるんだ・・
とにかくおとーさんとありったけの容器に水をためる。お風呂にもためる。おとーさん、「そうだ、一升瓶いっぱいあるはずだ!」・・多少酒くさくても何かしらに使えるでしょう。酒のみがいるって、ありがたい。
お天気が良くて暖かい。午後からはおひな様を片付ける。さーちゃんもお手伝い。
おとーさんとお外で遊んだり、元気いっぱい。
そうしているうちに、おとーさんの声がする。「電気ついたぞぉ!」やった、電気開通!
夕方、近くに住む従姉から電話が入る。
県外の親戚経由で届いた第一報。「みんな大丈夫ってことだけど、ただ・・おばちゃんが亡くなったって」・・。え、おばちゃん?
おばちゃんの家は全然海や市街地からは離れているのに・・
「買い物に出ていたんだって」・・・なんでよぉ。。。
電話を切ったあと、ゆうべ電話をくれたMくんに電話する。Mくんは、おばちゃんの孫。知らせは届いているだろうか?・・つながった!「ばあちゃんのこと、聞いたよ。ばかだな。なんで出かけてたんだろ。行きたいけどね、ガソリンが足りないし、道路も通れないらしいから今は動かないで様子みてる。また何かわかったら連絡するね。」冷静だなぁ・・。
なんか落ち着かず従姉の家まで行ってみる。従姉と2人、何とか釜石に行く手段はないか話す。仮に緊急車両のみ通している道路でも、事情を話せば通してもらえるのでは?
それにしても、ガソリンが足らない。。。
そう、みんなガソリンが底をついてきていたのです。いつ給油できるかわからない。
行ったところで帰りのガソリンが足らないのは明らか。
従姉も私も、それぞれの旦那に話してみるも、「今は何もできないし、余震も続いている。道路の状況もわからない。下手に動いて二次災害になっては元も子もない。ましてちゃえ*の体では無理」との結論。
今思うと当たり前。従姉と二人で、「あ、妊婦だってこと忘れてた・・」
2人であーだこーだ話して今動くことはあきらめる。ふう。でも少し落ち着いた。
私たちにできることは、じっと、連絡がつくことを待つだけ、か。
とりあえず無事らしいということはわかったので、内陸部に住む釜じいの兄弟にも電話してみる。やはり心配していた。
電話は、つながりにくいけど、しつこくかけると繋がる。
電気が通じたので、お風呂にためた水(前日の残り湯込み)を追い炊きしてお風呂に入る。
とにかく、さっぱりできたらいい。
電気がついて明るく、暖房も暖かい、お風呂にも入れた。充分。
水はためてたのを大事大事に使いましょ。
やっぱりラジオを聴きながら眠れない夜。。。。。
3月14日(月)
朝、気がつくと携帯に着信。留守録が入っているマーク。聞いてみると・・釜ばあの涙声が聞こえた!「大丈夫だからね!みんな大丈夫だよ!安心してちょうだい!」
あー、なんで出られなかったの!奇跡的に電話通じたのに!見たことのない番号からだったけど、掛けてみる。通じたぁ!出た人に、「今、そちらの携帯から着信があって母からだったんですが・・」「娘さんだね。今、かわるね!」そして釜ばあが出る。年甲斐もなく泣いてしまった。「お母さん、お母さん!」・・とにかく両親と兄家族の無事が確認できた。良かった。
某携帯会社の一部が繋がって、釜ばあの友達の携帯とのこと。声が聞けて、よかった。。。
おばちゃんのことでショックを受けていただけに、うれしかった。。
出勤してみると、みんなガソリンがピンチ。給油しているスタンドもあるけれどあっという間に完売。数時間並んで待っても無理らしい。
今後の稼働について上の人たちが相談。ガソリンの入手の見込みがつくまで、デイサービスはお休み、ヘルパーさんは独居の方へ安否確認こみで最小限。私たちケアマネも外回りやあとに回せることはあと回し。
よそのデイサービスやヘルパー、その他の状況を確認し、利用者さんへ連絡。電話はほぼ完全につながるようになった。良かった。。
食材の入手も困難で、入所者の食事は2食。キビしい・・・。
職員の出勤が危ぶまれるので、最小限人数の出勤にするためシフト組み直し。おかーさんも今週はあと2日のみ出勤。
生活は、不便には不便だけど、なんか、慣れてきた感じ。ぼちぼちコンビニやお店も開き始めている。物はないらしいけど。でも、全然平気。
湯船にたまっているお湯を追い炊きして(昨日入ったままの風呂水)、ちょっとバッチィけどもったいないのでお風呂に入る。歯磨きしながらつい癖で蛇口をひねると、水が出る!あれー、びっくり。ただ、出てくるのは茶色く濁った水。やっぱりくみ置きの水は大事でした。
でも、ライフライン完全復旧。良かった。この生活がすごく快適に思える。
被災地にもこの生活を・・と思う。
暖かいところで温かいものを食べ、お風呂でさっぱりできる、この生活を・・。
テレビを見ていると、ますますひどい状況がみえてくる。私がニュースをみたり携帯をいじっていると、さーちゃんが「だめ。おかーさん、え~ん、え~んするから!」って言った。
そうだね、ごめんね、さーちゃん。おかーさん、もう泣かないからね。
ようやくぐっすり眠れるようになるか、な。まだ余震は続いています。。
3月15日(火)
仕事は休み。そういえば、保育園はお休みしているけれど電話が通じなくて連絡してなかったわ・・思い出して、朝、電話してみる。保育園は動いているそう。おかーさんのご実家はどうでしたか?先生、心配してくれる。大丈夫でした、連絡も取れました、と伝え、さーちゃんを地震から守ってくれたお礼を言う。おかーさんの出勤も少ないし、連休あけまで休むことにした。
さて、ここで事件。昨日から風邪ぎみ?咳をしていたばーちゃん、近所の病院に行ってみると「インフルエンザ」!ひえー!とうとうダウン。
そういえば、ばーちゃん、断水中の隣の団地に地域の人たちで炊き出しに行ったり、忙しくしてたから・・疲れが出たのね・・。
「ごめん、産直に出す野菜、準備してあるから持って行ってくれる?」と言われさーちゃんと産直へ。野菜は小松菜やほうれん草なので、妊婦の私にも全然平気で運べる物でした。良かった。さーちゃんも野菜を運び、値段シールを貼ってお手伝い。時々ばーちゃんと来ているので、手順はばっちり、おかーさんより上手でした。
やはり食材調達が難しいのか、産直の前にはもう人だかり。
そばのスーパーには長蛇の列。食品を買って帰ろうと思ったけど、この列は、無理、と思っていたら、けっこう前に並んでいた同僚を発見。目で「ここに入りな!」と合図してくれて、ちゃっかり列に入り込む。「妊婦が並んでいられないでしょ」。ありがとう。
スーパーの中はちょっと寂しかったけど、わりと品物はあった。さーちゃんとお買い物。やっぱりパンや牛乳はないし、卵・肉は1家族1パック限り。トイレットペーパーはすでになく、ティッシュも5箱パックが1家族1パック限り。それも多分すぐなくなるだろう。
このさい、お腹に入ればなんでもいいのよ。いつまでもこの状態でもなかろう・・と、買える物を買って、レジの長ーい列に並ぶ。さーちゃん、少し飽きた様子もありつつ、でも黙っていい子にしている。えらいえらい。カートからレジの台にかごを載せ替えるとき、後ろの奥さんが「やりますよ」と、かごを降ろしてくれた。こんな時に、みんな妊婦に優しい・・ありがたい。
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