無条件幸福

無条件幸福

全然、苦労してないだろう、オマエ!

彼の勧めもあって、プロフィールに年表を記入しました。
私自身は大した苦労はしていないと思っているのですが、彼曰く「それは違う」そうです。

ですが、物心ついたときには南京虫と呼ばれ、母親が少しでもいなくなれば、約半畳の立方体型の真っ暗な納戸に押し込まれ、祖母の意に添わぬ言動をしようものなら容赦なく罵られ、罰を与えられる。小学生の頃、祖母の同意を得ずに買ったセキセイインコは目の前で踏み潰され、ウサギは芽の出た青いジャガイモの中で冷たくなっていました。
その行為に対し、私は不当だとも不遇だとも、それどころか辛いとも思いませんでした。納戸に入れられるのは怖かったのですが、私は「出来損ない」なのだから、普通の子と同じように扱われないのは当然だと思っていたのです。その為なのか、当時も今も、私には著しい感情・情緒面の欠落があるようです。
それでも、人前では本家の娘らしく利発的に振る舞うよう躾られ、いずれは祖母達が見繕った有益な相手に嫁ぎ、子供を産むことだけが私の存在意義であり、そうすることが当然と思って疑いもしませんでした。テレビや本で行われるそういった行為が不当であるとは知っていましたが、自分で不当を訴え、普通の子と同じように扱って欲しいと望むことが許されるとは、夢にも思いませんでした。
初めて自分の意志を通した高校で過ごす中で、自分にも許されるのだと気付き、静かに牙を磨き、爪を研ぎ、粛々と外堀を埋めた上で祖母達に反旗を翻しました。

取り敢えず、私は、私に向けられる「出来損ない」とか「死んでしまえ」という言葉に対抗し、私はこうだと証明し続ける為だけに、今までの半生をかけてしまいました。
虐待は祖母の死で幕を閉じましたが、これからも、私はこうだと証明し続けます。






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