七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

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兄弟の中で、誰が一番好き? その1



今回は、仁吉が、安定した幼稚園時代を送れた理由として、いくつか挙げることができる、その中で、思い当たることを一つ、お話したいと思います。

幼稚園時代に、仁吉が、繰り返し私に確認したのが、これです。

「おかあさん、兄弟3人の中で、誰が一番好き?」

私のそばに、こっそり来ては、何度も尋ねるのです。

私は、そんな仁吉の顔を見ると、いとおしくて、

「仁吉が一番好きやで。

でも、誰にも言ったらあかんで。

おかあさんと仁吉の秘密や。」

すると、仁吉は嬉しそうに、

「わかった。誰にも言わへん。内緒やねんな。」

と、飛び跳ねて行きます。

でも、そこは子供のこと。

それとなく、お父さんのいる時や、兄弟のいる時に、そんな話を匂わせます。

繰り返し、何度も私に、“誰が一番好きか”を聞いて、私が仁吉に答えているのを、ついにお父さんが聞きつけて、

「おまえ、それを、ほかの兄弟が聞いたらどうすんねん!」

と、言われました。

私は、平然として、

「だって、にっこり笑って聞かれてみぃ。思わず、聞いた本人に、おまえが一番って言うてしまうで。

だから、私は仁吉に、聞かれたその時は、ほんまに仁吉が一番かわいいと思うから正直な気持ちで答えるだけや。

内緒や言うてるから、絶対に言わへんって。」

「そしたら、ほんまに3人からいっぺんに聞かれたら、どうすんねん?!」

「その時は、今は3人とも好きやから、決められへん、って答えるわ。」

「そんないい加減な・・・。」

でも、それが、おそらく当時、明らかに手のかかる長男の太吉と、赤ちゃんの三吉にはさまれた仁吉にとって、そういうやり方で、私の気持ちをはっきりと聞いて、自分が母にとって、特別な存在であることを確認して、安心する心の支えにしていたのだと、私は思っています。

実際に、手をかけられている太吉は、私にそんな質問をするまでもなく、自分が愛されている確信があったのでしょう。

仁吉がそういうことを、私から聞いていると、うすうす感づいてはいたようですが、太吉から、“誰が一番好き?”と聞かれたことは、あまりありませんでしたし、仁吉にやきもちをやくこともありませんでした。

そして、その後も、“誰が一番好き?”と、3人から一斉に詰め寄られることは、一度もありませんでした。

なぜなら、それぞれが、こっそり私に聞いていたのですから、私はそれぞれに、誰にも内緒やでと話しているのです。

一斉に聞いてくるわけはありません。

それは、母との約束を破ったことになるのですからね。

でも、この“えこひいき”は、なんだかあちこちで、問題にされることになるのです。

<つづく>


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